2013年に白金単結晶表面上のBa-Ti-O超薄膜において金属酸化物準結晶が発見されて以来、金属酸化物準結晶の創製研究及びその構造解明の研究が盛んにされている。本公募研究では、希土類酸化物準結晶であるCe-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の創製方法を、低速電子回折、オージェ電子分光、X線高電子分光、走査型トンネル顕微鏡、吸収分光、ラザフォード後方散乱分光からなる複合解析により組成と原子密度の観点から系統的に調べた。ナンシー大学との共同研究により、密度汎関数理論に基づく第一原理計算により全エネルギーSTMシミュレーション像を計算し、Ce-Ti-O系準結晶関連構造超薄膜の詳細な幾何構造モデルを提案することができた。 酸化物ハイパーマテリアルに関する学術論文を1報発表するとともに、日本表面真空学会(JVSS2023)にて招待講演を行った。当該研究グループの大学院生は、2022年ALC2022国際会議にて学生優秀発表賞を受賞し、2023年の日本物理学会秋季大会および2023年日本表面真空学会(JVSS2023)においても、学生優秀発表賞を受賞しており、高い評価をいただいた。 酸化物ハイパーマテリアルの機能開拓に向けて、希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製研究に取り組んできた。具体的には、Yb-Ti-O系ハイパーマテリアルの創製研究に取り組み、準結晶関連構造超薄膜の創製に成功した。また、構造モデルの妥当性の評価のために、SPring-8にて光電子ホログラフィーの実験を開始した。研究は順調に進んでおり、今後のさらなる研究成果が大いに見込まれる。
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