今後の研究の推進方策 |
昨年度行ったSE像の元素弁別性、試料深さ分解能、ディフォーカス依存性の検証結果を踏まえ、表面構造観察に関する以下のテーマについて研 究を推し進める。 1. 回転積層した遷移金属ダイカルコゲナイド上のBa-Ti-O表面構造の観察 MoS2, MoSe2, WSe2等の遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)を30度回転して積層した試料を作製し、SE像で一方のTMDC層のみが観察可能か検証 する。作製した2層TMDCの界面では、両層がもつ6回回転対称のポテンシャルが重なりあうため12回回転対称性をもつ準周期的ポテンシャルが形 成されることが期待される。作製した2層TMDCに原子をインターカレーションすることができれば、その原子が準周期ポテンシャルの影響を受 け、準周期的に配列することが期待される。また、そのポテンシャルが表面に漏れ出していれば、表面に堆積した原子が準周期的に配列する可 能性がある。回転積層した2層TMDCに対して原子を堆積させた試料を作製し、SE像により、それらがSE像で観察可能か確認する。この試料上にB a, Ti, O原子を堆積させ、準周期単層膜が作製できるか調べる。 2. 機械学習をもちいたノイズ処理 実験で得られるSE像はノイズを多く含むため、得られた像から真の像信号を抽出する必要がある。SE像はHAADF-STEM像と強度分布の類似性があ るため、同時に取得されるHAADF-STEM像の像強度を教師データとした辞書学習やベイズ超解像等の機械学習の手法を適用し、ノイズ除去を行う 。
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