公募研究
価数揺動Au-Al-Yb準結晶の近似結晶を用いてその近似度およびYbイオンの平均価数を変えながら、Yb サイトの局所構造と電子状態との関係を明らかにすることが目的である。そのために、Ybイオンの電子状態を明らかにするための手法として、本研究では174Yb放射光メスバウアー分光法を用いている。今年度は、100%174Yb同位体を濃縮したAu-Al-Yb 1/1近似結晶を測定試料として、1/1近似結晶の量子臨界性のチューニング変数である圧力に関して、Yb イオンの4f 電子状態の変化を実験的に求めることを目的とした。この目的達成のために、SPring-8 核共鳴散乱ビームライン(BL35XU)で低温・高圧力下174Yb 放射光メスバウアー分光測定を行った。Au-Al-Yb 1/1近似結晶は、磁化測定などの巨視的手法により 2 GPa 付近で量子臨界性を示すことが分ってきている。今回の低温・高圧力下174Yb 放射光メスバウアー分光測定の結果から、観測された吸収構造は、2.5Pa までの圧力領域で非対称であり超微細相互作用の非対称性(4f電子状態の空間分布)を反映していることが分った。特に、量子臨界転移向かって1.5GPa 以上の圧力下では低圧力下通常金属状態の吸収構造とは大きく異なることも分かった。この圧力範囲の低温 2 K において、Au-Al-Yb 1/1近似結晶は常磁性状態であるため、174Yb 核準位分裂は核位置での超微細相互作用の内で4f 電子空間分布による電場勾配の影響である。すなわち、Au-Al-Yb 1/1近似結晶の量子臨界点近傍で、Ybイオン4f電子状態の変化を初めて直接観測することに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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New Physics: Sae Mulli
巻: 73 ページ: 1145~1148
10.3938/NPSM.73.1145