研究領域 | 蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04608
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
池澤 篤憲 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (80824953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 界面イオン移動 / 4極式セル / 参照電極 / 全固体電池 / 界面リチウムイオン移動 / 電気化学 |
研究実績の概要 |
界面におけるイオン移動の電気化学測定においては、4極式セルの利用が有効であることが知られている。しかし、固体|固体界面におけるイオン移動への適用例はこれまで報告がない。これは、固体電解質に適用可能な参照極が見出されていなかったことに起因している。研究代表者らは、固体電解質に適用可能な参照極として、部分還元したチタン酸リチウムを活物質としたメッシュ型の参照極を開発している。そこで本研究では、部分還元したチタン酸リチウム等を活物質としたメッシュ型参照極を用いて全固体の4極式セルを構築し、電気化学測定を用いて固体|固体界面におけるリチウムイオン輸送挙動を解析する。2022年度は、部分還元したチタン酸リチウムを活物質としたメッシュ型参照極を用いて、4極式セルに適した参照電極を開発し、硫化物系固体電解質接合界面の電気化学測定を行うための4極式セルの構築を行った。交流インピーダンス測定が可能な4極式セルの開発に成功し、硫化物系固体電解質接合界面抵抗成分を明確に抽出することに初めて成功した。三種の硫化物系固体電解質で形成した接合界面におけるリチウムイオン輸送の活性化エネルギーを比較することで、リチウムイオン移動の律速要素が、一方の固体電解質におけるリチウムイオンの挿入脱離であることが明らかとなった。また、酸化物系固体電解質および塩化物系固体電解質と、硫化物系固体電解質の接合界面におけるリチウムイオン移動を測定するための4極式セルの構築を行い、固体電解質接合界面抵抗およびその活性化エネルギーの測定に成功した。また、サイクリックボルタンメトリーの結果から、これらの固体電解質接合界面に分極電位窓が存在しないことが明らかとなった。本研究成果を、第48回固体イオニクス討論会および「蓄電固体界面科学」第4回公開シンポジウムにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度研究実施計画における、参照電極および4極式セルの開発、複数の固体電解質接合界面におけるリチウムイオン移動の活性化エネルギーおよび分極電位窓の測定、界面イオン輸送の律速要素の検討が全て達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に構築した全固体4極式セルを用いて、硫化物系固体電解質接合界面におけるリチウムイオン移動のより詳細な解析や、硫化物以外の固体電解質接合界面におけるリチウムイオン移動、および混合導電体|固体電解質界面におけるリチウムイオン移動への展開を推進する予定である。これらの結果を踏まえて、固体|固体界面におけるリチウムイオン輸送の律速要素に関して、より多角的な観点から検討を行う。
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