公募研究
本研究の目的は,電子材料/固体電解質界面近傍における電気二重層効果と酸化還元反応,及びそれらの共存・相互作用の結果として生じる電荷キャリア(イオン・電子)蓄積現象を詳細に調査し,飛躍的に高い密度の電荷キャリア蓄積能・高速イオン輸送能を固固界面で発現させること,それを利用し磁気特性を劇的に変調し人工知能機能を発現する新デバイスを創製することである.今年度は強磁性Fe3O4薄膜へのリチウムイオン挿入に基づく酸化還元反応によりFe3O4薄膜中の電子キャリア密度を大幅に制御することによって磁化ベクトルを制御し、そのダイナミクスを用いて物理リザバーコンピューティングを行う新デバイスを開発した.非線型自己回帰移動平均モデル(NARMA)等の典型的ベンチマークテストを用いた性能評価に加えて、糖尿病患者の血糖値変化予測を行ったところ、いずれも高精度な予測をすることができた.本内容について原著論文として出版した.また,ダイヤモンド/固体電解質界面の電気二重層効果におけるイオンと電子キャリアの応答に関わる緩和時間の材料依存性を調査するために,従来用いてきたリチウム固体電解質薄膜に代えてプロトン固体電解質薄膜に注目して検討を行った.多孔質構造中に多くの吸着水を含有することで高いプロトン伝導性を示すイットリア安定化ジルコニア(YSZ)薄膜をパルスレーザー堆積法で成膜し,ダイヤモンド型電気二重層トランジスタを作製した.ゲート電極から電圧パルスを入力し,ドレイン電流の変化を測定したところ,27マイクロ秒という非常に短い緩和時間が得られ,既報の電気二重層トランジスタと比較して最も高速であった. さらにこのデバイスを用いて非線形変換などの物理リザバーコンピューティングを実施することができた.本内容について原著論文として報告した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 9件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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