研究実績の概要 |
オートファジー必須遺伝子 ATG16L1 には、α, β, γ の3つのスプライスバリアントが存在する。α, β isoform は様々な組織に発現する一方で、γ isoform は主に脳や心臓に特異的に発現する。本研究では未解明である ATG16L1 γ isoform の産生機構や特徴的なタンパク機能、生体内における役割について検証する。 (1) 神経細胞におけるATG16L1 isoform 産生機構の解析。マウス脳およびマウス初代培養神経細胞を用いた解析により、ATG16L1 isoform は神経の発達に伴い α/β isoform から、γ isoform へとシフトしていくことが判明した。またこれは アルギニンメチル化酵素 PRMT1 欠損により障害されることが判明した。 (2) ATG16L1 欠損細胞株の作製と各 isoform の機能評価。CRISPR/Cas9 システムにより、ATG16L1 欠損 Neuro2a 細胞を樹立した。各 isoform を再発現させ、LC3 の脂質化について検証したところ、γ isoform は β isoform に比べ脂質化レベルが低いことが判明した。また、γ isoform は β isoform に比べ強くリン酸化されていることが判明した。 (3) ATG16L1-γ 欠損マウス、ATG16L1-S278A マウスの作製。in vivo においてATG16L1 isoform, リン酸化の意義を検証するため、2系統のマウスを新たに樹立した。これらのマウスは実際に目的の遺伝子変異を有し、タンパクレベルでも γ isoform の欠損、リン酸化の消失を確認できている。
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