研究領域 | マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04639
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特別教授 (70271020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オートファジー / ゴルジ体 |
研究実績の概要 |
一般的マクロオートファジーは、細胞質の変性タンパク質や傷害オルガネラなどを、膜で包み込んで分解する機構であり、Atg5やAtg7などの分子を用い、小胞体膜を主な起源とする。一方、GOMEDは、同じように膜で包み込んで細胞内成分を分解する機構であるが、Atg5/Atg7に依存せず、ゴルジ体膜を起源とする。このため、第2のマクロオートファジーとも称すべき機構である。しかしながら、オートファジーとGOMEDは、分解する基質タンパク質が大きく異なっており、異なる細胞機能である。 本研究では、GOMEDに関わる重要分子を探索し、2つの新規実行分子の同定に成功した。また、これらの分子の欠損細胞におけるトランスゴルジ膜の形態を調べることにより、当該分子がどのステップで機能している分子であるかを明らかにした。 さらに、GOMEDの可視化法を以下のように開発した。すなわち、GOMEDは、細胞内成分を分解する時に、分解したい成分を隔離膜で包み込んで細胞質から隔離する。そこで我々は、極小の蛍光分子を隔離膜内に入れ、蛍光分子が漏れ出ていないことで隔離の進行を評価する測定系を構築した。具体的には、GFPなどの蛍光タンパク質を細胞に発現させる。その後、細胞の一部にフォトブリーチ(蛍光タンパク質を強力に励起することで消光させる技術)を行う。これにより、隔離膜に包まれていない蛍光タンパク質は、自由拡散によって消光し、隔離膜に包み込まれた蛍光タンパク質は、隔離膜内にとどまり強い蛍光を発する。この手法を、FLAD(FLIP-based autophagy detection)と命名した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規分子の同定と、可視化法の開発に成功しており、順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
1、GOMEDの生理機能解明:GOMED実行分子であるWipi3のfloxマウスを、現在種々のcreマウスと交配している。これらの臓器特異的GOMED欠損マウスを解析して、生体での役割を明らかにする。 2、eat-me-signalの探索: 一般的マクロオートファジーによる基質選択には、基質のユビキチン化やp62などのアダプター分子の関与が知られている。一方で、GOMEDの基質選択のメカニズムは不明である。そこで、Bafilomycinなどによって基質分解を回避した細胞において、分解基質に付加されているeat-me-signalを、マススペクトル解析により同定する。
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