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2022 年度 実績報告書

時空間特異的オートファジーによる植物の動的成長の制御

公募研究

研究領域マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
研究課題/領域番号 22H04649
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

郷 達明  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80511419)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードオートファジー / 根冠 / 細胞壁 / 細胞内膜輸送 / シロイヌナズナ
研究実績の概要

根冠は、植物の根の先端をキャップ状に覆っており、細胞層の新生と剥離を周期的に繰り返しながら、形態と機能を維持するというユニークな組織である。細胞の新生から剥離までの遷移を数細胞層において連続的に観察できるため、植物発生における細胞の再構成の優れたモデルである。本領域の第一期公募研究において、時空間的に統御されたオートファジーが細胞剥離を伴った根冠細胞の再構成を促進することが明らかになった。根冠細胞の正常な剥離には、時空間特異的な細胞壁の改変が重要である。このことから、オートファジー変異体では、根冠細胞の細胞壁が適切に改変されないために細胞剥離に異常が生じる可能性が考えられた。そこで、本研究では、時空間特異的なオートファジーによる根冠細胞の精密な剥離の制御機構を明らかにするために、細胞壁改変酵素に着目した研究を進める。
申請者らのグループでは、根冠剥離を制御する転写因子BEARSKINの下流因子の探索から、細胞剥離に関わる細胞壁改変酵素(RCPG)を見出した(Kamiya et al., 2016)。RCPGは根冠最外層で特異的に発現し、分泌経路を経て細胞壁へと輸送されて、細胞剥離のための細胞壁の改変を制御する。そこで、オートファジー変異体におけるRCPG-RFPの局在を解析したところ、RCPG-RFPが野生型よりも多く蓄積していることが明らかになった。また、根冠最外層特異的にオートファジー活性を回復させると、根冠の剥離異常とRCPGの過剰蓄積の両方が解消された。このことから、根冠最外層におけるオートファジーがRCPGの局在や量を適切に調節することで、根冠における細胞剥離を制御している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究により、根冠剥離に関わる細胞壁改変酵素の局在がオートファジー変異体において異常になっていることを見出した。また、根冠最外層特異的にオートファジーを回復することによって、オートファジー変異体の根冠剥離異常と細胞壁改変酵素の局在の両方が回復することを新たに見出した。

今後の研究の推進方策

オートファジー変異体における根冠剥離異常の原因が、細胞壁改変酵素の局在や量の異常にあるかを確認するために、遺伝学的な解析を進める。また、細胞壁改変酵素は分泌経路を介して、細胞壁へと輸送されることから、根冠最外層において、オートファジーと分泌経路の相互関係を細胞生物学的視点から解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] The Chinese University of Hong Kong(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      The Chinese University of Hong Kong
  • [雑誌論文] Autophagy promotes organelle clearance and organized cell separation of living root cap cells in <i>Arabidopsis thaliana</i>2022

    • 著者名/発表者名
      Goh Tatsuaki、Sakamoto Kaoru、Wang Pengfei、Kozono Saki、Ueno Koki、Miyashima Shunsuke、Toyokura Koichi、Fukaki Hidehiro、Kang Byung-Ho、Nakajima Keiji
    • 雑誌名

      Development

      巻: 149 ページ: dev200593

    • DOI

      10.1242/dev.200593

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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