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2022 年度 実績報告書

タンパク質凝集体分解促進のための新規アグリファジー誘導経路

公募研究

研究領域マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
研究課題/領域番号 22H04651
研究機関長崎大学

研究代表者

松本 弦  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (50415303)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードアグリファジー / 選択的オートファジー / タンパク質分解
研究実績の概要

NUT化合物処理による遺伝子の発現誘導をRT-qPCRで確認し、ATF3, NFIL3, PPP1R15A, GADD45Aなどの遺伝子がNUT化合物処理により、神経細胞においても発現が誘導されることを確認した。これら遺伝子のRNAi ノックダウン(KD)コンストラクトを作成し、NUT化合物によるアグリファジー誘導が影響されるかどうかを検証したところ、単独のノックアウトでは顕著なタウ凝集の抑制効果は観察されなかった。また、10種類のNUT化合物がもつ吸光と蛍光について、スペクトルスキャンをおこなったところ、薬効の強いNUT-29が蛍光をもつ化合物であることがわかり、NUT-29の蛍光を指標として濃度測定が可能となった。NUT化合物は疎水性がつよいことから、水溶液中に溶解できるNUT-29の濃度が最大でも10uM程度であることがわかった。NUT-29をオリーブオイルに溶解し、タウオパチーモデルマウスに2mg/kgの濃度で週3回、経口投与した。3ヶ月間の投与期間で、タウ凝集体の蓄積の有意な減少を確認できた。このことは、アグリファジー促進剤としてNUT化合物がマウス脳でも効果をもつことを示唆しており、タンパク質凝集体の蓄積は、神経細胞に本来備わっている分解機構を使いこなせていないことによることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タウオパチーモデルマウスへのNUT-29投与実験で、タウ凝集体の抑制効果がみられたことは大きな進展であり、加齢によるタンパク質分解活性の低下は不可逆なものではないことが示唆され、想定通り凝集体分解ができることがわかってきた。

今後の研究の推進方策

タウオパチーモデルだけでなく、シヌクレイノパチーモデルでもNUT化合物で分解ができることを確認することで、凝集体の種類によらないことを立証する。凝集体の分解システムの亢進のための新規メカニズムを、NUTの標的分子を同定しその作用機序を明らかにすることにより明らかにしていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] A central role for p62/SQSTM1 in the elimination of toxic tau species in a mouse model of tauopathy2022

    • 著者名/発表者名
      Ono, M., Komatsu, M., Takado, B.J.Y., Shimojo, M., Minamihisamatsu. T., Warabi, E., Yanagawa, T., Matsumoto, G., Aoki, I., Kanaan, N.M., Suhara, T., *Sahara, N. and Higuchi, M.
    • 雑誌名

      Aging Cell

      巻: 21 ページ: e13615

    • DOI

      10.1111/acel.13615

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An undiagnosed case of prion disease in cadavers for anatomical practice.2022

    • 著者名/発表者名
      Nakagaki, T., Kaneko, M., Satoh, K., Murai, K., Saiki, K., Matsumoto, G., Ogami-Takamura, K., Ikematsu, K., Akagaki, A., Iwasaki, Y., *Tsurumoto, T. and *Nishida, N.
    • 雑誌名

      New Eng. J. Med.

      巻: 386 ページ: 2245-2246

    • DOI

      10.1056/NEJMc2204116

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [産業財産権] タンパク質凝集体の分解促進用組成物、およびタンパク質凝集体形成 を伴う神経変性疾患の予防または治療用医薬組成物2023

    • 発明者名
      松本 弦、水田賢志
    • 権利者名
      国立大学法人 長崎大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-030021

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公開日: 2023-12-25  

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