研究実績の概要 |
オートファジー・リソソーム分解系の研究においては、“リソソームによる分解”はどのマルチモードオートファジーにおいても避けられない“分解”を司る必須の過程である。本研究課題に関する、リソソームの主要タンパク質分解酵素カテプシンB(CtsB), およびカテプシンL(CtsL)について、脳組織における機能について研究をおこなっている。全身CtsB/ CtsL全身ノックアウトマウスでは、神経セロイドリポフスチン症モデルマウスである全身カテプシンDノックアウトマウスや中枢神経組織特異的カテプシンD(CtsD)ノックアウトマウスと非常に類似した表現型を示していた。カテプシンBおよびLはシステインプロテアーゼであり、カテプシンDはアスパラギン酸プロテアーゼであり、中枢神経における機能的ダイバージェンスある可能性がある。そこで、中枢神経特異的CtsB/ CtsL二重ノックアウトマウスを作成し、その表現型を解析した。全身CtsB/ CtsL全身ノックアウトマウス、全身カテプシンDノックアウトマウスや中枢神経組織特異的カテプシンD(CtsD)ノックアウトマウスでは、いずれも中枢神経組織にセロイドリポフスチンの蓄積を認め、GRODとよばれる異常なリソソームは観察され、生後それぞれ13日前後、26日前後、30日前後で死亡する。ところが、中枢神経特異的CtsB/ CtsL二重ノックアウトマウスは、8週齢以降も生存していた。運動機能に関しては、いくつかの運動機能テストについて、異常が認められた。また小脳の萎縮傾向が認められ、小脳皮質・小脳核におけるプルキンエ細胞の部分的脱落が認められた。また、これらの解析のためにImmuno In-resin CLEMという新規CLEM法を開発した。
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