公募研究
気孔の開閉は光などの外的要因と概日時計による内的要因のクロストークにより周期的に制御される。しかし、その分子機構については不明な点が多い。本年度は、気孔が常に開き気味で周期性を失うcca1 lhy変異体と、気孔が常に閉じ気味で周期性を失うprr5 prr7 prr9変異体を用いて、気孔開閉不全の原因について解析を進めた。まず、気孔が常に開口するcca1 lhy変異体に気孔閉鎖を誘導するアブシシン酸(ABA)を与えたところ、この変異体ではABAに応答して気孔が有意に閉鎖することが分かった。次に、気孔が常に閉鎖するprr5 prr7 prr9変異体では、青色光に応答した気孔開口の阻害が見られたが、細胞膜H+-ATPaseの活性化剤であるfusicoccinを与えたところ、気孔が有意に開口することが分かった。このことから、概日時計は青色光によるH+-ATPaseの活性化に至るシグナル伝達の制御を通じて、気孔開閉の周期性を制御する可能性が示唆される。次に、概日時計が孔辺細胞の転写制御を通じて気孔開閉の周期性を制御する可能性について、野生株とcca1 lhy変異体、prr5 prr7 prr9変異体を対象として、時系列のRNA-Seq解析を行った。明暗条件で生育させた植物体を恒明条件に移し、ZT48からZT68にかけて4時間おきに孔辺細胞を濃縮した表皮を単離し、解析を行った。その結果、野生株において顕著な発現変動を示すものが4,373遺伝子抽出された。さらに、cca1 lhy変異体とprr5 prr7 prr9変異体において発現変動が低下し、且つその発現が逆転するものを絞り込んだ結果、149遺伝子が抽出された。これらの因子の中に気孔開閉の周期性の制御に関わるものが含まれる可能性が示唆される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 15 ページ: 1195
10.1038/s41467-024-45236-9
アグリバイオ
巻: 7 ページ: 801-805
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/weekly/28916/index.html