研究領域 | 細胞システムの自律周期とその変調が駆動する植物の発生 |
研究課題/領域番号 |
22H04727
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野下 浩司 九州大学, 理学研究院, 助教 (10758494)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 植物フェノタイピング / 数理モデル / 形態測定学 |
研究実績の概要 |
植物器官の3次元空間における周期的出現パタンとその変調が生み出す植物個体の「かたち」の多様性の統合的理解を目指し,3次元的な器官の配置,サイズ,形状の定量化と,その統合による「かたち」の評価方法の開発に取り組んだ. 植物個体の3次元的「かたち」の例として,ダイズを対象に3次元データの蓄積を進めた.簡易的な写真測量スタジオを用いた多視点画像の取得,得られた多視点画像に対するアノテーション,アノテーションデータを利用したマスク画像生成とそのための機械学習モデルの作成をおこない,Structure from Motion(SfM)とmulti-view stereo(MVS)による点ベースの3次元再構築により点群データを取得した.これら多視点画像データ,アノテーションデータ,点群データを合わせて蓄積している. また,複数器官からなる構造の定量化のために位相的データ解析によるアプローチの有用性を検討した.仮想的な群落構造を対象に,3次元的なモニタリングと2次元的なモニタリングの両方について,位相的な特徴量を算出し,それだけに基づいて異なる群落構造の識別が可能であるかを検証した.その結果,モニタリングシナリオに応じて,識別が容易な構造とそうでない構造が異なることがわかった.一方で,その原因がいまだ不明であるため,継続して仮想的な群落構造での検証を進めている.並行して,実データへの適用を想定したモニタリングシナリオの作成に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの取得状況,解析手法の開発の両方が概ね当初の想定どおり進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き3次元の「かたち」データの蓄積を進めつつ,そこから生物学的に意味のある解剖学的,発生生物学的,進化生物学的情報の抽出を可能にする定量化・数理モデル化手法の開発を進める.特に,3次元空間中における複数種類の情報の統合を可能にする解析手法の開発を進め,3次元空間における周期的出現パタンとその変調が生み出す植物個体の「かたち」の多様性の統合的理解を目指す.
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