公募研究
本研究課題では酸化的リン酸化の中枢を担うシトクロム酸化酵素(CcO)の反応機構を解本研究課題では酸化的リン酸化の中枢を担うシトクロム酸化酵素(CcO)の反応機構を解明することを目的としている。そのために、CcOの反応中間体のX線回折(XRD)とX線発光分光(XES)を同時に測定することで、これら中間体の化学構造(構成原子の空間座標と電子状態)の酵素反応に伴う変化を追跡する必要がある。そこで、高輝度極短パルスという特徴を持つX線自由電子レーザー(XFEL)によるポンププローブ時分割実験を行うという発想に至った。2023年度の研究では、以下の成果が得られた。1.微結晶を連続でXFEL照射位置へ移送する方法(SFX法)に適したCcO微結晶の調製法の改良に成功した。2022年度にCcOの高品質な微結晶の調製に成功し、分解能が2.5 オングスロトームの回折データを得ることができた。しかしロット間の格子定数がばらついており、データ処理が難しいという問題があった。そこで、CcOの精製と結晶化時の温度管理や試薬のロット管理を厳密に行うことで、微結晶のロット間での結晶格子のばらつきを抑制することに成功した。これによって従来よりも少ないデータ量で電子密度マップの計算を行うことが出来、1データセットあたり短時間でのデータ収集が可能となった。2.CO結合還元型CcO微結晶を用いたポンププローブ時分割実験の実施。CO飽和還元剤を調製し、暗幕で覆われた低温嫌気作業ボックス内でCcO微結晶と混合することでCO結合還元型CcO微結晶の調製を試みた。調製したCO結合還元型CcO微結晶を用いて、ポンプ光照射100マイクロ秒後にプローブ光(XFEL)が照射されるようにセッティングを行い、ポンプ光照射の有無による構造変化を捉えられるか確認した。その結果、部分的に結合しているCOの解離が確認された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 299 ページ: 105277~105277
10.1016/j.jbc.2023.105277