研究領域 | 身体-脳の機能不全を克服する潜在的適応力のシステム論的理解 |
研究課題/領域番号 |
22H04769
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荻原 直道 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70324605)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経筋骨格モデル / ニホンザル / シミュレーション / 二足歩行 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの進化過程における身体変容に対して、新しい神経制御系を獲得する過程を、神経筋骨格モデルに基づく二足歩行シミュレーションによって解析し、身体構造の改変によって生じる二足歩行の超適応メカニズムを明らかにすることを目的としている。 従来の神経筋骨格モデルに基づく二足歩行シミュレーションは、脊髄に存在するリズム生成神経回路網(CPG)を数理的にモデル化して歩行生成を行うものがほとんどであるが、この枠組みのみでは、身体の変容に対して歩行制御を再構成することは困難である。本研究では、動物の姿勢制御や歩行に関与する下行路であり、特に姿勢や筋緊張レベルの調節に関与する網様体脊髄路と、外乱に対して姿勢の崩れを未然に防ぎ、体平衡を保つ前庭脊髄反射を担う前庭脊髄路が、身体変容に対する歩行の超適応の基盤を成していると考え、その概念モデルを構築した。具体的には、CPGを駆動する歩行誘発野からの入力を、網様体脊髄路ニューロンは中継するため、ここに身体変容に伴う歩行中の感覚情報の変化に対応して、筋緊張レベルを調整する機構をモデル化することを考えている。一方、前庭脊髄反射とは、動物の歩行中に何らかの外乱が入力され頭部に加速度が加わった場合、内耳にある前庭器によりその加速度が感知され、反射的に四肢の筋緊張が変化し、体平衡を保とうとする反応である。本研究では、前庭神経核が、前庭器からの情報に基づいて外乱に対して体幹傾斜をコントロールするのに必要な床反力ベクトルを推定し、それを神経系が各筋活動に変換すると仮定し、それを実現する神経回路のモデル化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の想定に反し、接地情報に基づく脊髄反射と歩行リズム調整機構のモデル化では、安定な歩行の生成が困難であることが判明したため
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今後の研究の推進方策 |
網様体脊髄路と前庭脊髄路を追加した神経回路モデルに基づく二足歩行生成を実現することを通して、身体変容に伴う「超適応」のメカニズムの構成論的解明を進める。
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