本研究では既存の脊髄損傷モデルマウスの生理的回復スピードと修復度合を遥かに凌駕するマウスの作製を試みた。再生阻害因子コンドロイチン硫酸(CS)の不活性化およびシナプス形成因子シナプスコネクターの導入を同時に行った個体にリハビリテーションを組み合わせ、損傷後の神経組みかえを促進させ、損傷からの迅速な回復を達成することができた。この急速回復モデル作成とともに、その運動回復過程の解析に初めてAIモーションキャプチャーを取り入れた新規画像解析システムを確立し、急速な神経組みかえに対応する特徴的な行動変化・要素を抽出する。マウスモデルを高等動物およびヒトの生理回復系と同等のレベルに引き上げ、評価可能なハイスループット評価系を構築することも目的とした。シナプスコネクター導入およびT1ASOにより顕在化する行動の抽出を行う。そのパターン行動に対して、電気生理学的解析や組織化学的解析を併せて検討し、損傷後回復過程でのシナプス組み換え再編の超適応化の考察を進められるシステムをAIを導入することによって構築した。小動物ならではの個体数N数を重ね、人やサルの回復に外挿できるシステムに近づけるようになった。
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