研究実績の概要 |
本年度は、(1)アルミニウム蓄積細胞の同定と(2)アルミニウム蓄積の機序について明らかにするために解析を行った。 (1)アルミニウム蓄積細胞の同定 当初SPring-8の放射光を用いてアルミニウムが集積する細胞を検討しようと考えたが、アルミニウムの検出が難しかったため、方針を切り替え、アルミニウムイオンを検出できる蛍光プローブLumogallionを用いて検討した。まずLumogallionの特異性、細胞内局在、定量性について、既存の報告を元に検討し、系をセットアップした。次にhIAPP-Tgマウスの膵島内のどの細胞にアルミニウムが蓄積しているかをLumogallionを用いて検討したところ、LumogallionのシグナルがInsulinのシグナルと共局在することから、アルミニウムは主に膵β細胞に局在することが判明した。 (2)アルミニウム蓄積の機序 (1)よりアルミニウム が蓄積するのが膵β細胞であることから、アルミニウムがどのようにして膵β細胞に蓄積するのか、その機序を探るために、この現象がin vitroで再現できるか検討した。ラット膵β細胞株INS-1細胞にアデノウイルスを用いてLacZ(コントロール),rIAPP, hIAPPを発現させ、細胞数とアルミニウムの蓄積をICP-MSとLumogallionを用いて観察した。rIAPPはhIAPPと異なり、凝集体を形成しないことが報告されている。解析の結果、LacZを発現させた場合と比較するとrIAPP, hIAPPを発現させた場合の方が有意にアルミニウムの蓄積が観察されること、さらにはrIAPPよりhIAPPを発現させた場合の方がアルミニウムの蓄積が観察されることが判明した。
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