生活支援ロボットが人から指示されたタスクを実行する過程で,行動計画のための情報が不確かな状況が頻繁に生じる.したがって,適切な質問を生成し対話によって人から追加情報を得る仕組みは重要である.しかし,ロボットは自律エージェントであるので,追加情報を常に人から得る必要はなく,自らその情報を取得・探索する選択肢もあり,情報の不確かさを常に人との対話で解消しようとするとユーザビリティが低下したり,タスク達成時間が長くなったりする.そこで,本研究では情報の不確さを表現・計算し,それに基づき対話と行動を適応的に選択する手法を,2つのロボットタスクに対して開発・評価した. ロボットと人の共同物体探索タスクにおいて,人の過去および未来の探索行動の推定手法を開発した.ロボットが推定した人の行動の推定結果にあいまいさがある場合に対話を選択する戦略に加え,人ロボット間の双方向の対話が可能なシステムを構築した.仮想空間での人ロボット間のインタラクションを利用した被験者実験によって,対話がない場合に比べ探索効率が向上することを示した. 人の指示に基づく物体探索タスクにおいて,物体の配置に関する不確かさ(物体の存在可能位置の確率分布)を既存のデータベースから初期化しロボットの観測にしたがって更新する手法,および対話の効果とコストのトレードオフを考慮して対話を選択する手法を開発し,物体の候補場所がより多く,またその配置から探索経路がより長くなるほど人への質問が多くなることが確かめられた.
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