研究実績の概要 |
本研究の目的は、主に対話知能ロボットのような自律型AIロボットを対象として、法的主体性付与の可能性、法的な対応方法の多様性、及び、平等原則などの倫理の主体適格性について、明らかにすることである。前年度に引き続き、文献購読を進め、研究会発表および論文発表による研究活動を行った。研究発表としては、今年度は国内で2回実施した。すなわち、①「プライバシー権保障と個人情報保護の異同 ~イギリスの制度を参考にして~」イギリス法研究会(2023年7月21日)、②「生成AIによって作成した児童ポルノの法的規制」AIと法研究会(2023年11月18日)の2回である。論文発表としては、以下の3本を発表した。すなわち、①「AIと法 (1)―AIによる人間製造の可能性」白門75巻春号(2023年4月)45-50頁、②「生成AIによって作成された児童ポルノの法的規制」東洋法学(2024年3月)67巻3号117-160頁、③「AIと法(2)―考えるAI?」白門76巻夏号(脱稿済み)の3本である。 なお、対話知能ロボットなどのAIロボットとの関係において重要な関係を有する表現の自由について、今年度の文献精読において重要な文献と接することができた。それが、Eric Heinze, The Most Human Right, Why Free Speech Is Everything (The MIT Press)であり、2024年2月に、著者とロンドン大学で面会し、様々な疑問について共に議論を深めることができた。そして、同著作を私が日本語で翻訳し、それにHeinze氏と私の議論を付加する形での著作を出版することで合意することができた。さらに、2024年3月に、Automation is A Mythなどの著作を出しているルカ・マン(Luke Munn)研究員とブリズベンで会い議論を深めることができた。
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