1. 当該領域の試験圃場におけるM. humilis/ verticillata complex -BRE共生系の動態と植物との相互作用の解明:前年度までの結果を受け、内生細菌(BRE)の有無およびそのグループの違いによるトマトへの生育促進効果を検討した。供試菌株はBREグループAに属するMortierella humilis S2、YI11およびYTM36、グループAの除去株であるM. humilis S2BF、グループBに属するM. horticola YTM78、グループCに属するM. sugadairana YTM39s3、グループCの除去株であるM. sugadairana YTM39s9およびBRE非保有株であるM. alpina KS.F.3.3.1を供試した。難溶性リン酸塩添加培地上で5日間培養後、発根処理したトマト種子を播種し、3週間育苗を行った。育苗後、植物体を回収し葉のSPAD値および根長測定後、1週間以上乾燥させたのち地上部および根部乾燥重量を測定した。その結果、M. humilis S2処理区およびYI11処理区で地上部乾燥重量が増加した。また、M. humilis S2処理区において他菌株接種区と比較して根部乾燥重量が有意に増加した。葉のSPAD値および根部は、M. humilis S2処理区において対照区と比較して有意に増加しており、リン酸吸収と関係が示唆された。 2. M. humilis/ verticillata complexに内生するBREの形質付与の評価:Mortierella属菌のBREとして今までに人工培養に成功していないBREのグループが異なるMortierella属菌5菌株を供試した。その結果、供試した菌株からコロニー形成をした菌株は確認されなかった。
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