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2022 年度 実績報告書

南西諸島における絶滅危惧水生昆虫の域外保全個体からの野生復帰に関する研究

公募研究

研究領域ゆらぎの場としての水循環システムの動態的解明による水共生学の創生
研究課題/領域番号 22H05242
研究機関東海大学

研究代表者

北野 忠  東海大学, 教養学部, 教授 (80407999)

研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2024-03-31
キーワードフチトリゲンゴロウ / タイワンタイコウチ / リュウキュウヒメミズスマシ / 生息域外保全 / 野生復帰 / 放虫 / 飼育 / 繁殖
研究実績の概要

本研究は、現在減少傾向が著しい琉球列島の水生昆虫を保全するため、生息域外での繁殖のための知見の収集と、室内で繁殖させた水生昆虫を野生復帰により野外で定着させる好適な条件を明らかにするものである。本研究ではフチトリゲンゴロウ・タイワンタイコウチ・リュウキュウヒメミズスマシを対象とし、前2種においては、すでに繁殖技術は確立していることから、野生復帰場所・時期・個体数・放虫時のステージ(卵・幼虫・成虫)を検討しながら放虫を実施し、定着に好適な条件を明らかにする。リュウキュウヒメミズスマシにおいては繁殖技術が確立しておらず、飼育下での生物学的知見を収集する。
フチトリゲンゴロウ:2022年6月に2か所の池で成虫を放虫した。そのうちの1か所では繁殖せず、放虫個体も確認できなくなった。一方、もう1か所の池では、2022年10月の時点で放虫個体に加え、現地で繁殖した幼虫および成虫を確認することができた。
タイワンタイコウチ:2022年6月に3か所の池で成虫を放虫した。そのうちの1か所では繁殖せず、また別の1か所の池では繁殖したが、その後放虫個体も含めて確認できなくなった。一方、残る1か所の池では、2022年10月に現地で繁殖した幼虫および成虫を確認することができ、2023年2月にも現地で繁殖した成虫の生存を確認している。
リュウキュウヒメミズスマシ:2023年1月に親個体を確保し、飼育したところ、少数ではあるが卵を得ることができた。得られた卵から孵化した幼虫については、ユスリカの幼虫を餌として飼育が可能であったが、蛹化に失敗する個体が多かった。ただし、わずか1個体ではあったが羽化に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

フチトリゲンゴロウとタイワンタイコウチに関しては実際に放虫を実施することができ、現地での繁殖を確認することができた。一方、繁殖が確認できなかった場所もあり、これらの環境条件や放虫の状況を比較することで、これらの好適な放虫条件に関する知見が得られていると考えている。
リュウキュウヒメミズスマシに関しては、少数ではあるが卵を得ることができ、幼虫の飼育も可能であった。わずか1個体であるが成虫にまで育てることができ、次年度に向けての飼育技術の確立のための知見が得られたと考えている。

今後の研究の推進方策

フチトリゲンゴロウ・タイワンタイコウチにおいては、令和4年度に引き続きモニタリングを継続し、定着状況を明らかにする。また、研究室にて繁殖させた個体を基に、再度追加の放虫を実施する。これらの結果から、野生復帰場所・時期・個体数・放虫時のステージ(卵・幼虫・成虫)など、定着に好適な放虫条件を明らかにする予定である。
リュウキュウヒメミズスマシにおいては令和4年度の結果を参考にしながら生息域外保全技術の確立を目指したい。
これら2年間の研究成果をもとに、これら3種を基本としながら、他種もしくは他地域でも応用できるよう、生息域外保全および野生復帰技術のモデル化に努めることを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 絶滅危惧水生昆虫の再導入の試行-うまくいったり、いかなかったり 成果と課題-2023

    • 著者名/発表者名
      苅部治紀・北野忠
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会

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公開日: 2023-12-25  

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