研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05272
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野村 直之 東北大学, 工学研究科, 教授 (90332519)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 球形多孔質セラミックス粒子 / 高レーザ吸収 / 凍結乾燥パルス圧力印加オリフィス噴射法 / 単分散粒子 / セラミックスコーティング / レーザ積層造形 |
研究実績の概要 |
本研究では、独自に開発した凍結乾燥パルス圧力印加オリフィス噴射法(Freeze-Dry Pulsated Orifice Ejection Method; FD-POEM)により気孔を積極的に導入した積層造形用球形セラミックス粉末を創製し、高いレーザ吸収性と高い断熱性を両立させ、緻密なセラミックス積層造形体を作製することを目的とする。 2022年度は、アルミナとジルコニアを中心に検討を進めた。これらの多孔質球形セラミックスに大量に気孔を導入し、FD-POEM粒子の製造パラメータの追及による気孔率および粒径制御に取り組んだ。得られた複合粉末を用いてレーザ積層造形を実施した。アルミナとジルコニアの混合比は共晶組成であるAl2O3-40mol%ZrO2とし、スラリー濃度が5-20%となるように撹拌してFD-POEM装置に供した。得られた複合粉末に対して、画像解析による粒度分布測定と断面観察による気孔率の解析を行った。得られた複合粉末をレーザ積層造形装置に供し、Mo基板上に積層造形を行った。異なるスラリー濃度で作製したAl2O3-40mol%ZrO2粉末を走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、スラリー濃度が増加すると表面は平滑化し、粉末円形度が増加した。平均粒径も濃度とともに小さくなり、分布幅も狭くなる傾向があった。スラリー濃度の上昇に伴い、スラリー粘性が増加し、FD-POEM過程における1回の液滴の吐出量が小さくなったことが原因として考えられる。粉末製造パラメータおよびノズル径を変化させることで粒径は調整可能であるが、スラリー濃度も粒度分布に影響していることが分かった。作製した複合粒子を用いてレーザ積層造形を行ったところ、セラミックスコーティングの形成が確認され、レーザ吸収率の低い2種類のセラミックスを溶融できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究内容において、一部実施できなかった項目もあるが、ほぼ実施することができた。積層造形については次年度の予定としていたが前倒しして実施することができた。当該年度で実施できなかった内容については次年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
異なる気孔率を持つ組成を持つAl2O3-ZrO2複合粉末のレーザ吸収率と熱伝導率の測定に取り組む。積層造形過程におけるZrO2のレーザ吸収挙動の変化が予想されることから、ZrO2-xのレーザ吸収率測定にも取り組む予定である。溶融シミュレーションを用いてコーティング内に形成される温度場を推定し、得られる組織の特徴との対応を検討する予定である。
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