研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05273
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
周 偉偉 東北大学, 工学研究科, 助教 (10800352)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | レーザ粉末溶融結合法(L-PBF) / 酸化グラフェン / β-Ti合金 / 固溶 / 微細組織 / 機械的性質 |
研究実績の概要 |
2022年度には、酸化グラフェン(GO)/β-Ti複合粉末の作製法を開発し、レーザ粉末溶融結合法(L-PBF)による高炭素β-Ti合金の作製の可能性を確認した。ヘテロ凝集法によりβ-Ti合金粉末表面にGOシートを装飾し、GOの添加が粉末特性に与える影響を調べた。最適化されたL-PBFパラメーターを検証するために、アルキメデス法と電子顕微鏡を使用して、造形体の気孔率を評価した。さらに、造形体の組織観察と機械的性質の評価を行った。 負に帯電したGOは、静電気力によって正に帯電したTi-15Mo-5Zr-3Al(Ti1553)粉末の表面に均一に付着し、流動性、粉末サイズ及び粒度分布を変化させることなくGO/Ti1553複合粉末が得られた。Ti1553及び0.2wt.%GO/Ti1553造形体の密度とエネルギー密度の関係を示す。2つの試料は同様の変化傾向を示し、エネルギー密度の増加に伴い造形体の密度は増加し、ピークを示したのちに減少した。この結果から、GOの添加はβ-Ti合金の L-PBF造形性を低下させなかった。X線回折図形から、GO/Ti1553 造形体は完全にβ-Ti 相で構成されていた。SEM画像から、組織中に溶融池境界が観察されたが、GOシートの残留や炭化物の析出は認められなかった。これらの結果は、β-Ti合金に炭素が過飽和に固溶していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、β-Tiマトリックスに大量の炭素を固溶させ、熱処理により超微細炭化物粒子の析出を制御し、力学的な高機能化を目指す。2022年度には、ヘテロ凝集法を用いて均一な酸化グラフェン(GO)/β-Ti混合粉末を作製し、L-PBFプロセス中の急速凝固を活用して、高炭素β-Ti合金の製造に成功した。また、炭素の添加により微細な構造が形成され、β-Ti合金の機械的特性が向上した。実験結果は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、熱処理温度と保持時間を変化させ、TiCナノ粒子の形成を調べる。さらに、Xまたは X-Yスキャンを用いて、GO/Ti1553造形体の集合組織を制御し、熱処理によりTiCを微細分散させ機械的性質への影響を調査する。室温および高温強度を飛躍的に向上させたスーパーチタン合金の開発を目指す。
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