研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05276
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田原 正樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80610146)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 超温度場 / 金属3Dプリンティング / チタン合金 / 形状記憶合金 / 超弾性 |
研究実績の概要 |
本研究では、超温度場3DPを用いて従来法では実現できなかった超準安定β相(super-metastable β phase)を有する新規β型チタン合金の創出を目指す。従来法では析出物が生成するなどして過飽和β相を得ることが不可能であった合金組成においても、超温度場を用いることでβ相を室温で凍結できると考えた。このようにして作製したβ相は極めて安定性が低い(=不安定)はずである。準安定β相を利用した様々な機能性はβ相の安定性が低いほど良好な特性を発現することがわかっている。そこで本研究では,従来のチタン合金の常識を超える機能特性(超微細α/βラメラ組織と高温形状回復現象,超低弾性率化,巨大超弾性回復歪み)の発現を超温度場3DPにより目指すこととした。 具体的には、準安定チタン合金として既に従来法で研究の実績があるTi-Cr-Sn合金をターゲットとし、β相安定化元素であるCrをなるべく少なく、α安定化元素であるSnをなるべく多くした合金組成において、β相の凍結(CrとSnの強制固溶)を試みた。本年度は従来法ではTi3Snが析出する合金組成において金属3Dプリンティングを用いることで過飽和β相の単相を得ることに成功した。この試料を用いて力学試験及び金属組織学的解析を行った。その結果、本合金系においても既報の結晶配向制御が有効であることがわかった。また、金属3Dプリンティングによって作製した試料では組成にずれが生じることも分かった。次年度は塑性のずれを考慮に入れて合金組成を調整し、機能性の発現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定通り、金属3Dプリンティングによる超温度場を利用することで、従来法では不可能だった合金組成でβ単相を得ることができた。研究計画全体としては順調に進展しており、次年度までに目標通りの成果が得られると考える。
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今後の研究の推進方策 |
純金属混合粉末を用いて試料作製を行った。この手法での組成ずれ量が把握できたので、次年度はそのずれを考慮して新しい試料を作製する予定である。
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