研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05283
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
新里 秀平 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10853202)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
|
キーワード | 原子モデリング / 超温度場 / 界面原子拡散 / 固相対流 |
研究実績の概要 |
本研究課題では超温度場や急冷過程における材料内部や材料表面・界面での原子運動の詳細とその背景にある物理を明らかにするために、超温度場下や急冷過程での原子運動を高精度かつ高速解析可能な原子モデリング法を構築し、様々な温度勾配条件、冷却速度条件下での凝固(結晶成長)プロセス、造形される材料・部材の形状や内部構造(結晶構造、原子配置の化学秩序・偏析、格子欠陥や欠陥組織)を原子スケールで予測することを目的とする。さらに、凝固時に固体中に発生する力学場と超温度場との非線形相互作用を解析し、力学場の超温度場3Dプリントへの影響の解明、および超温度場下での原子運動の新しい制御手法を提案する。本年度は実験により観察された超温度場下で生じるナノ単結晶材料中の固相対流現象の詳細を原子論的観点から明らかにするために、非平衡分子動力学法を用いて超温度場におけるナノピラー表面と内部での原子の拡散過程の解析を行った。非平衡分子動力学解析を実施するにあたっては、純銅ナノピラーを対象とし、低温側接点とナノピラーとの間の濡れ性に関して、実験による観察結果を再現するように界面における原子間相互作用の構築を行った。非平衡分子動力学法を用いた解析の結果、定常状態においては表面原子が高温側から低温側へと移動し、内部においては低温側から高温側へと移動する傾向を明らかにした。また、低温界面における接触応力および原子数密度を求めることで、界面における連続的な原子流入メカニズムを検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では超温度場における原子運動を高精度かつ高速に解析することのできる手法の構築を目的としており、本年度は高速解析手法構築に向けて、超温度場における原子運動を通常の分子動力学法により解析を行い、表面及び界面における原子拡散に関する知見を得ることができた。したがって、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,今年度に獲得した知見を基にした時間拡張モデリング手法の検討及び、高精度解析に向けて機械学習を用いた実材料用原子間相互作用の構築を行う。機械学習原子間相互作用の構築に向けた学習データの収集は今年度からすでに開始しており、原子間相互作用の学習及び有効性の検証と、時間拡張モデリング手法の検討をそれぞれ独立して行い、その後、それらを組み合わせることで実材料を対象とした超温度場における原子運動のモデリングを行う。
|