研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
22H05288
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小笹 良輔 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80845347)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | ハイエントロピー合金 / 粉末床溶融結合 / 計算機シミュレーション / 凝固組織 / 金属3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
ハイエントロピー合金(High Entropy Alloys: HEAs)は、5元系以上の元素の組み合わせからなる特定の溶媒を持たない多成分系合金であり、異種原子の完全固溶により固溶体強化し、種々の機能を発現することを最大の特長とする。しかしながら、航空材料仕様に設計された軽量性と耐熱特性を兼ね備えるHEAsはほとんど開発されていない。本研究では、航空用HEA設計とレーザ粉末床溶融結合(Laser-Powder Bed Fusion: L-PBF)法を重畳して駆使することにより、高機能性を有するスーパーチタン材料としての新規HEAsの創製を目指す。そのためのアプローチとして、具体的には、「(A)軽量性/耐熱性を考慮した新たな合金設計」、「(B)L-PBFにおける「溶融・凝固挙動-材質(結晶相・析出物・集合組織・結晶配向)」の関係解明」、「(C)造形体の機能性および機能発現機構の解明」の3つの大項目に分けて研究を遂行する。 1年目は、特に(A)に注力し、既存の経験則に基づくHEA設計法に加え、合金設計指針として新規パラメータを導入することにより、高温であっても安定した構造を有するHEAを設計し、鋳造法により作製した。得られた新規HEAは単相からなり、高温での高い結晶安定性を示すとともに高い降伏応力を示した。2年目以降のL-PBF造形に向けて、鋳造材を用いてレーザ照射による超急冷温度場下での結晶成長挙動を観察した。新規HEAは、温度勾配(G)と固液界面移動速度(R)に依存した結晶凝固形態を示し、形成組織は固液界面移動に沿って優先的な結晶成長を示した。以上のことから、優れた耐熱特性と強度を有する新規HEAの合金設計を実現するとともに、L-PBF造形による結晶集合組織形成制御の可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、新規HEAの合金設計を完了しており、2年目以降のL-PBF造形に用いる粉末はすでに入手済みである。加えて、当該HEA鋳造材を用いたレーザ照射のプレ実験により、L-PBFにより結晶集合組織形成の制御ができる可能性を示している。したがって、残りの期間で目標を達成できる見込みであるため、進捗状況は順調と自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
新規合金設計法により、高い高温安定性を有するHEAの創製を鋳造法によりすでに実現している。最終年度は、さらなる機能性の向上を目指し、L-PBFを駆使した急冷・指向性温度場の制御により、凝固組織形態と結晶集合組織の形成に挑戦するとともに、当該HEAの室温・高温における力学的特性をはじめとする機能性を明らかにする。
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