ヒドロキシカルボン酸部位に多様性を持たせるため、立体配置、炭素骨格、置換基の異なるリンカーを自在に合成できる合成法の開発を目指し研究を進めている。1)鍵反応として不斉アルドール反応のフロー合成を検討した。Seebachのキラル補助基を有する酢酸アミド誘導体からエノラートを転化率よく生成し、直ちにエナールおよびイナールと反応させて望むアルドール付加体を立体選択的に得る試みを行った。ミキサーの種類、流速、反応温度についてベイズ最適化を利用して、立体選択性・転化率が高くなる反応条件を探索した。その結果、立体選択性・転化率の積を目的関数として条件を変えるよりも、それぞれの値を目的関数として最適化を行う方が少ない実験数で効率よく最適な条件を見つけることができた。さらに最適な流速におけるレジデンス時間を検討して、不斉アルドール反応のフロー合成の最適条件を見出した。2)独自に見出した光反応を用いた脱炭酸ー酸化反応によるアミノビニルシステイン構築法について、フロー法を用いて検討した。その結果、バッチ法に比べてより短時間で反応が進行することを見出した。この際、フローセルを用いる場合と光を透過する反応チューブを用いる場合を比較してその効率を求めた。反応温度についても検討したが、バッチ法と同様に収率は温度に大きく依存し、-40℃の低温で反応を行うことが必要があった。フロー法ではバッチ法に比べて小さい反応容器を恒温槽に浸せば良いので、より効率が良い手法となる。
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