研究領域 | デジタル化による高度精密有機合成の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22H05372
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | ベイズ最適化 / モノリス / 固定化触媒 / フロー合成 |
研究実績の概要 |
優れた物質透過性、高い比表面積を持つ固定化担体である高分子多孔質体モノリスによる固定化触媒の開発とフロー反応を中心とする有機合成について検討した。 固定化触媒の迅速調製を目指して、デジタル技術の導入を検討した。固定化触媒の調製モノマーにトリフェニルホスフィン(TPP)スチレン誘導体、ジビニルベンゼン(DVB)、スチレンを用いた。調製した固定化触媒の調製のために、モノマー比率、相分離条件の検討を行った。多孔質度に最も影響のある因子を検討し、DVBと貧溶媒の量によって固体触媒の最終的な微細構造が大きく変化することがわかった。このことからDVBと貧溶媒であるドデカノールを説明変数として、ベイズ最適化を行うことができるかを検討した。固定化触媒として、TPPにPdを配位させてPd-TPPを調製した。次に、調製した固定化鈴木宮浦カップリングをターゲット反応として選定した上で、目的変数として、収率、TON,TOFを検討した。反応中(開始5分後)のTOFが最も制度良く計算を行うことができると判断した。その上で、ベイズ最適化による固定化触媒の最適化を行い、再現性よく固定化触媒の最適化を行うことができるとことを明らかにした。 また、Pd-TPP固定化触媒について固定化担体の主要構成物質であるポリスチレン自体の電子特性に着目して検討を行った。ポリスチレンの芳香族骨格に対して電子供与基または吸引基などの官能基を結合させて、ポリスチレンの有するπ電子特性を変化させることで触媒活性が変化することを見出した。 また、林ヨルゲンセン触媒を固定化した多孔質ポリスチレンを検討した。バッチ反応においては多孔質体の孔径と反応の特性には差異は見られなかった。多孔質体の孔を流通経路としてフローリアクターを調製できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プログラムの導入からデジタル技術の開発を始めたが、領域内の勉強会を通じて、シンプルなベイズ推計を高分子固定化触媒についても適用可能であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
高分子固定化触媒の組成最適化について、研究を一定レベルまで完成させる。Pd-TPP固定化触媒においては、フロー反応の条件最適化、反応の選択性のベイズ推計最適化を行う。林ヨルゲンセン触媒固定化リアクターについて、フロー条件のベイズ推計最適化、反応解析を進める。
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