公募研究
マイクロ流体デバイスを用いて、粒子の構成成分の脂質と遺伝子をそれぞれ異なる入り口から送液し、流路内のジグザグ構造によって互いの相互作用が最大化され、均一な粒子径の遺伝子搭載型脂質ナノ粒子を作成できる。粒子径とその均質性は、細胞や生体への遺伝子導入において鍵を握る要素であり、この装置はこの点で優れている。本装置を用いて、粒子径の異なる粒子を作成し、脳血管内皮細胞株(hCMEC/D3細胞)への遺伝子導入効率を計測し、効率が最大となる粒子径を解明した。また、粒子内に遺伝子を封入する効率を95%以上にできる装置条件を決定した。リポフェクタミンを比較対象として、ssPalmで作成した脂質ナノ粒子にGreen Fluorescent Protein (GFP)のmRNAを搭載し、hCMEC/D3細胞への遺伝子発現効率を計測した。遺伝子発現効率が95%と高い値が得られた。対照的に、リポフェクタミン処理では、全く発現しなかった。遺伝子導入できても細胞毒性があっては適切ではないため、細胞毒性も評価した。リポフェクタミン処理では、低濃度から顕著な毒性が示され、定量プロテオミクス解析においてリボソームやシャペロニンなどの細胞生存に重要な分子群の発現低下が示された。対照的に、ssPalm脂質ナノ粒子では、細胞形態やプロテオームに影響は出なかった。従って、ssPalm脂質ナノ粒子を用いれば、血液脳関門の細胞に高効率かつ低毒性で遺伝子導入できることが証明された。本成果をPharmaceutics. 2022 Jul 27;14(8):1560で発表した。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに血液脳関門の細胞へ効率よく遺伝子導入する方法を確立できたため。
In vitro解析及びin vivo解析によって、脳の関門細胞に選択的に脂質ナノ粒子をデリバリーできることを実証する。
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https://www.hiroshima-u.ac.jp/pharm/research/lab/Pharmaceutics_and_Therapeutics