本研究では、二次構造モチーフに着目したドメインスワッピングタンパク質複合体構造の計算機デザイン戦略により、様々な種類のタンパク質からボトムアップにタンパク質複合体構造を創出する汎用的なデザイン手法の確立を目指して、(1)複合体デザインが可能なタンパク質構造データベースの作成、(2)汎用的なタンパク質複合体構造設計手法の開発、(3)創り出したタンパク質複合体の網羅的物性評価系とカタログ化手法の開発を行う。 2023年度、「(2)汎用的なタンパク質複合体構造設計手法の開発」として、前年度に開発したドメインスワップタンパク質複合体構造を創出する計算機デザイン手法を拡張し、ヘテロ複合体のデザイン手法の開発を行った。フォールドが異なる7種類のタンパク質を開発した手法に基づき組合せ、7種類のヘテロ複合体を設計した。設計したヘテロ複合体の各サブユニットタンパク質を組換え大腸菌を用いた共発現を用いて生合成した。サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱測定、円偏光二色性分光測定により、溶液中での目的のヘテロオリゴマー構造の形成を示唆する結果を得た。「(1)複合体デザインが可能なタンパク質構造データベースの作成」として、タンパク質構造データバンクに登録された構造の中から(2)で開発した手法を用いて1つの二次構造モチーフに対して複合体デザイン可能なタンパク質構造を網羅的に探索し、機能に基づいて分類したデータベースを作成した。「(3)創り出したタンパク質複合体の網羅的物性評価系とカタログ化手法の開発」として、網羅的物性評価系のターゲットとするヘテロダイマーの設計を行い、少数のデザインについて個々に物性評価を行い、様々な物性のタンパク質が得られる系が構築できていることを確認した。
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