研究領域 | 生物を陵駕する無細胞分子システムのボトムアップ構築学 |
研究課題/領域番号 |
22H05437
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
美川 務 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 専任研究員 (20321820)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 酵素燃料電池 / バイオ燃料電池 |
研究実績の概要 |
生命は摂取した有機物を代謝しながら非常に効率よくエネルギーを生み出している。この過程を模倣して有機物から電気エネルギーを取り出すのが酵素燃料電池である。酵素燃料電池の触媒は酵素であり、水素燃料電池のように白金などの金属を使用しない。そのため、安全でクリーンな電源として近年大きな注目を集めている。さらに、グルコースを燃料とした酵素燃料電池の理論容量は3,927 Wh/kgであり、リチウムイオン電池の544 Wh/kgを大きく上回る。それにも関わらず現在まで酵素燃料電池が普及しないのは現状の酵素燃料電池はグルコースを1段階酸化したのみで生じた酸化物を使用せずに廃棄してしまっているためである。生命並みの効率でエネルギーを取り出すためには、代謝経路のようにグルコースを多段階の酵素反応で酸化していく必要がある。そこで、本研究課題では酵素燃料電池に特化した人工的な解糖系「超越解糖系」を構築し、生命並みに高効率な酵素燃料電池を開発することを目的とした。 2022年度はなるべく少ない酵素でグルコースから二酸化炭素まで分解可能な超越解糖系をデザインし、その系に使用する使用酵素の調製を試みた。グルコース脱水素酵素に加えて2種の脱水素酵素、2種の脱水酵素、2種のアルドラーゼ、計7種の酵素について大量調製系の構築を完了し、これら酵素の調製を試みた。得られた酵素からそれぞれの活性を評価し、反応の遅い酵素がないかなど問題点の洗い出しを行った。また、複数の酵素を一か所に集める方法について検討し、液-液相分離を使用して酵素を集合させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大によるライフサイエンス系の人材需要増加に伴い、予定していた研究協力者の雇用ができず、超越解糖系に必要な酵素群の調製及び超越解糖系の構築に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本計画では多くの酵素を調製する必要がある。そこで、今後は酵素を調製する人員を補充して研究のスピードアップを図る。また、これまでに明らかになった反応の遅い酵素や不安定な酵素については異なる酵素の大量調製系の構築を進める他、当該酵素に変異を導入して改変することによりその解決を進めて行く。今後は、これら酵素群を用いて人工解糖系である超越解糖系を構築し、その連続反応の評価を行っていく。
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