公募研究
生命は摂取した有機物を代謝しながら非常に効率よくエネルギーを生み出している。この過程を模倣して有機物から電気エネルギーを取り出すのが酵素燃料電池である。酵素燃料電池が普及しない理由は現状の酵素燃料電池は燃料を1段階酸化したのみで生じた酸化物を捨ててしまっているためである。生命並みの効率でエネルギーを取り出すのであれば、代謝経路のように燃料を多段階の酵素反応で無駄なく酸化していく必要がある。そこで、本研究課題では酵素燃料電池に特化した人工的な解糖系である「超越解糖系」を構築することを目的とした。2023年度は2022年度に引き続き、超越解糖系に必要な酵素群の大量調製を行い、実際にそれらを用いて超越解糖系の構築を行った。前年度までに系の中で使用する1種の脱水酵素と1種のアルドラーゼの反応速度が遅いことが明らかになっていたので、新たなアルドラーゼ、脱水酵素それぞの大量調製を行った。次に、これら酵素を用いて超越解糖系の構築を試みた。その際、それぞれの酵素の回転数が異なるため、系に添加する酵素のモル比などの検討を行った。その結果、超越解糖系を用いてグルコースの多段階酸化を行うことに成功した。これにより、通常は1段階の酸化反応でグルコースから2電子しか得ることしかできないところ、グルコースから10電子以上得られるようになった。よって、本成果は酵素燃料電池の実用化に大きく寄与することが考えられる。また、前年度までに液-液相分離を用いて酵素を集合させることに成功していたが、今年度は本手法が酵素連続反応において有効であることを明らかにした。本成果も上述の成果同様、酵素燃料電池の実用化に大きく寄与すると考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Biosensors and Bioelectronics
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