研究領域 | 2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
22H05465
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 幸一郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30888889)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 第一原理計算 / データ科学 / ベイズ最適化 / 2次元材料 / ファンデルワールスヘテロ構造 |
研究実績の概要 |
2.5次元材料はグラフェン・六方晶窒化ホウ素・遷移金属ダイカルコゲナイドなど多様な2次元材料を中心に様々な材料の組み合わせによって構成されるものである。最も単純に2次元材料を積層させるだけであっても、材料の組み合わせや重ねる順番など極めて多様な積層パターンが考えられ、積層パターンに応じた多様な物性を示すことが期待される。本研究では、それら多様な積層パターンを有する積層型の2.5次元材料に対して、第一原理計算とデータ科学手法を用いることで、合目的的な積層パターンの探索や電子状態を左右する因子の探索を進めている。 2022年度は、2層の同種・異種積層型の2.5次元材料に対して、1層目と2層目の積層位置のずらしまでを考慮した多様な積層パターンに対する第一原理計算を実施し、ベイズ最適化による積層パターン探索の有効性を検証した。ここでは探索対象をグラフェン・六方晶窒化ホウ素・二硫化モリブデンなど4種の遷移金属ダイカルコゲナイドの計6種とし、ベイズ最適化における目的変数にはバンドギャップを設定した。ランダム探索とベイズ最適化によって、最大もしくは最小のバンドギャップを持つ積層パターンに到達するまでの探索回数を比較したところ、ベイズ最適化の方が2~3倍ほど早く最適パターンに到達することが可能であることが分かった。また、2022年度において約500構造の第一原理データを得たため、これらを皮切りにデータベース構築にも着手した。さらに、より高度な物性を目的変数にしたベイズ最適化に向けたスクリプト等の拡張にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従って計算・検証・データ蓄積がおおむね進んでおり、ベイズ最適化によって合目的的な積層パターン探索の効率化を示す結果が得られている。さらに、次年度に向けた準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画に従ってベイズ最適化による最適パターンの探索を行いながら、データの蓄積やデータベースの構築を実施する。ベイズ最適化においては目的変数をより高度で直感的には類推し難い物性値に変更するだけではなく、3層以上の同種・異種積層系へと拡張する。また得られたデータを用いた機械学習モデルの検討も行う。
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