公募研究
本研究は、これまで開発してきた遷移金属ダイカルコゲナイドナノチューブ(TMDC-NT)の合成技術・積層技術を進化させることにより、円筒構造・積層構造が制御された2.5次元TMDC-NTを創製し、その触媒・デバイス応用や光物性開拓を展開することを目的とする。2023年度は、その目標達成に向けて、①円筒構造を制御したTMDC-NTの合成技術の開発、②異なるTMDC-NTを積層させたヘテロNTおよび異なるカルコゲンを有するヤヌスNTの創製、③TMDC-NTの触媒応答およびデバイス作製に取り組み、以下を実現した。①円筒構造を制御したTMDC-NTの合成技術の開発:前年度開発した絶縁体基板上への小径INTの直接合成法の改良を行った。前駆体の成長温度を変化させて実験を行い、前駆体の形状が成長温度で大きく変わることを見いだした。またその過程で、前駆体が基板の結晶軸に対して配列することを見いだし、配列したINTの合成に成功した。②異なるTMDC-NTを積層させたヘテロNTおよび異なるカルコゲンを有するヤヌスNTの創製:前年度実現したMoS2/WS2ヘテロNTにおいて、カルコゲン化温度の制御を行うことで、結晶性が高いヘテロNTの合成に成功した。結晶性を電子線回折により評価し、ヘテロNTのそれぞれの層が単一ドメインであることを明らかにした。さらに、前年度実現したWSSeヤヌスNTにおいて、STEM-EELSによる元素分析を行い、ヤヌス構造を示すことを実験的に実証した。ヤヌス化の条件を探索することにより、世界に先駆けてマイクロメートルスケールのヤヌスINTを実現した。③TMDC-NTの触媒応答およびデバイス作製:②で得られたヤヌスNTを用いて電気化学セルを作製し、評価を行った。また並行して、バルク光起電力効果測定のためのナノチューブ一本のデバイス作製に対し、四端子電極を形成できる技術を開発した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
Advanced Materials
巻: 35 ページ: 2304082
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巻: 35 ページ: 2306631
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