研究領域 | 2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
22H05471
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
毛利 真一郎 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60516037)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | モアレ超格子 / グラフェン / MoS2 / 原子層材料 |
研究実績の概要 |
本研究では、グラフェンやMoS2などの原子層材料の積層によってできる原子層モアレ超格子系の物性を、結晶成長や分子吸着などの手法で局所的に制御する手法の開拓を目指している。本年度は、主に、架橋ツイスト2層グラフェンの金属蒸着による局所物性制御を中心に研究を進めた。また、架橋ツイスト2層h-BNについてナノグラフェンを成長することにも成功した。また、2層h-BNとグラフェンとの積層構造を作成し、その基礎物性評価も進めている。 架橋ツイスト2層グラフェンについて、金属蒸着によるラマンシフトについてを詳細に調べた。銅箔上にCVD成長したグラフェンを転写して作った架橋ツイスト2層グラフェンの場合、Ga金属の蒸着により、Gモードと2Dモードが低波数側にシフトする現象が観測された。シフトの詳細な解析から、この現象が、蒸着により引っ張り歪みが挿入されたためと考えられることがわかった。グラフェンの組み合わせを変えると、逆向きの変化がみられることもあるため、現在、領域内共同研究で提供してもらった、CVD合成したツイスト2層グラフェン試料を使った研究で現象の解明を進めている。 架橋ツイスト2層h-BNについては、銅箔上に成長した試料から架橋に用いるTEMグリッドへの転写が難しいことが課題であったが、PMMA濃度を変えることで収率が大きく変化することを見だした。特に、過硫酸アンモニウムと硫化鉄のそれぞれのエッチャントで収率が変化することがわかった。この試料に対し、アルコールCVD法を用いてナノグラフェンが成長できることを示した。 以上の研究に加え、分極反転構造上に生成した原子層材料のドーピング制御の研究や大面積原子層材料の半導体材料への直接成長の研究も進めており、関連の学会発表を6件行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
架橋モアレ超格子の作製とそれに対する結晶成長などについての知見が順調に蓄えられている。課題としては、試料の質をあげることが必要だが、共同研究で改善が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、金属蒸着や結晶成長によるモアレ超格子物性の変化についての解明を進める。特に、MoS2やh-BNなどグラフェン以外のモアレ超格子系の物性変化に焦点を当てて研究を進めていきたい。また、領域内共同研究として分子材料の提供を受けているので、分子材料の吸着や蒸着によりモアレ超格子物性がどのように変化するかも明らかにしていく。
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