研究実績の概要 |
2022年度はメダカの終脳と視蓋のオスとメスの両方のサンプルを用いて実験を行い、細胞分離過程のストレスで最初期遺伝子の発現が誘導されない条件で、メダカ脳のscRNA-seqの実施に成功した。方法は摘出したメダカ終脳を低温条件下のプロテアーゼ(真菌由来のプロテアーゼ)処理後、物理的な攪拌(先の開いたチップによるピペッテング)により1細胞レベルに分離した(細胞生存率80%以上)。分離した細胞を10X Genomics Chromiumにより、分取、バーコーディング、ライブラリー作製を行った。そして次世代シークエンサーを用いて3’部分配列のシーケンス(バーコード26塩基+125塩基)を行った。結果はメス・終脳(7,383細胞)、メス・視蓋(5,346細胞)、オス・終脳(7,078細胞)、オス・視蓋(8,597細胞)を回収し、そのトランスクリプトームデータを得ることに成功した。また1細胞あたりのリード数は41,694リード/cell(メス・終脳)、57,513リード/cell(メス・視蓋)、47,769リード/cell(オス・終脳)、41,766リード/cell(オス・視蓋)、1細胞あたりの遺伝子数805(メス・終脳)、484(メス・視蓋)、832(オス・終脳)、646(オス・視蓋)、1細胞あたりの UMIは1,608(メス・終脳)、1,074(メス・視蓋)、1,744(オス・終脳)、1,542(オス・視蓋)UMI/cellのリファレンスデータを取得できた。1細胞あたりの遺伝子数が少ないのは、メダカゲノムデータベースを確認したところ、3’部分配列(polyA付近)が遺伝子モデルに含まれないケースが(3割程度)多いことがわかり、2023年度はゲノムデータベースの整備も必要になることがわかった。
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