公募研究
情動は喜怒哀楽の感情であり、生存に関わる記憶・判断に不可欠である。一方、情動異常を伴う様々な精神疾患も知られ、その多くで決定的治療法の確立に至っていない。脳内演算・遺伝的背景・個体内外環境など、多様な要因が互いに影響する複雑な制御基盤がそれを妨げる一因である。本課題は光学・機械学習による脳回路動態を紐解く独自技術と遺伝子プロファイル技術を融合することで、情動制御の包括的理解とハブ因子同定を目指す。揚妻が開発してきた独自の光学・数理解析技術を基軸に、過去の生化学・分子生物学分野の経験も生かし、更に領域内での実験技術・数理解析における連携を介して実現させる。2022年度は、領域会議や領域が提供する様々な情報収集の機会、領域内の経験豊富な専門家との議論を通じて、分子プロファイルの網羅的解析を進めていく方針を固めた。そしてその進展に必要と判断した、心拍計測など情動状態を反映する観察個体の内的状態を反映する指標の新たな計測系、さらには新たな行動評価系を構築し、それらが統合された新たな脳活動計測系を完成させた。さらに、これらの技術と神経活動観察およびその機械学習解析を融合した研究成果の論文化を進めた。2023年度は、ここまでの成果を論文として報告することが出来た(Agetsuma et al., Nat Commun, 2023)。さらに、これらの系を元に、情動システムの背景にある鍵となる分子プロファイルの取得を目指した。領域内連携を元に、サンプリングの手法、およびサンプリングのタイミングなどを各種実施し、比較を行った。分子プロファイリングの方法についても、バルクシークエンス、single cellシークエンス、single nucleusシークエンス等を比較検討し、最適化を図った。これらの成果を元に、今後はこれらのデータ解析を進め、更には光遺伝学等を駆使した検証に繋げて行く。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Communications Biology
巻: 7 ページ: 232
10.1038/s42003-024-05865-8
Nature Communications
巻: 14 ページ: 5996
10.1038/s41467-023-41547-5