研究領域 | クロススケール新生物学 |
研究課題/領域番号 |
22H05537
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
WONG W・R 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30464035)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 核膜孔 / ORF6 / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
核-細胞質を結ぶ唯一の「メゾ複雑体」輸送孔である核膜孔は、その内部に相分離から成る液滴を形成し、細胞増殖やウイルス感染応答にともなうすべてのDNA情報ネットワークを選択的に制御する。病態で変化する分子輸送の仕組みを理解するには、核膜孔内部の液滴の状態と機能相関のクロススケール核膜孔内分子構造動態の解明が必要である。本研究では、申請者らが確立してきた独自のイメージング技術により、選択的核膜分子輸送システムの基盤となる相分離のメゾ動態と機能化メカニズムを解明する。本年度では、「NUPs発現変化-液滴の変化-脳腫瘍発症」のつながりを示すデータ中から、病態予測に有効な診断マーカーを抽出する。これら診断マーカーについて、申請者と金沢大学・脳神経外科の中田教授が確立した悪性脳腫瘍マウスモデルや、臨床サンプルの提供を受けて、生体レベルにおける検証を行う。また、新型コロナウイルス由来タンパク質ORF6は、NUPsと相互作用し、核膜孔による核-細胞質間分子輸送を破綻させる。また、新型コロナウイルスタンパク質NSP9は宿主細胞内で液滴を形成し、核膜孔の液滴を形成するFG-NUPsを標的とすることで、核内移行を阻害する。これらの予備的な研究データに基づき、ウイルス感染応答にともなう液滴の状態-機能相関を解明するため、ORF6を発現した細胞の核膜孔の液滴のメゾ動態を明らかにする。現在、研究領域内西田先生のIn-cell NMRを研究開発している。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、申請者らが確立してきた独自のイメージング技術により、選択的核膜分子輸送システムの基盤となる相分離のメゾ動態と機能化メカニズムを解明する。初年度である今年は、「NUPs発現変化-液滴の変化-脳腫瘍発症」のつながりを示すデータ中から、病態予測に有効な診断マーカーを抽出することができた。さらに、領域内の連携としても公募班である丹羽班との連携テーマを設定することができた。また、研究領域内西田先生のIn-cell NMR共同研究テーマを具体的に設定することができた。一部では観察結果も得られつつあり、初年度の進捗としては、おおむね順調に進展と言える。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しており、このまま目標通りに進めていく。
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