研究領域 | 新興硫黄生物学が拓く生命原理変革 |
研究課題/領域番号 |
22H05566
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
松尾 和哉 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 助教 (90764952)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | 超硫黄化 / 部位特異的 / 光ケージド / 近接効果 |
研究実績の概要 |
既存の超硫黄研究において、標的となる生体内チオール基(R-SH)を超硫黄化する(R-Sn-H, n≧2)方法は、硫化水素(H2S)やポリスルフィド(Na2Sn)を外部から添加する方法に限定されている。これらの手法では、細胞内に多数存在しているフリーの-SH基が一定の確率・割合で超硫黄化されてしまうため、多種多様な超硫黄種が発生し、多様で複雑なシグナリングとなり、超硫黄化によって、どのタンパク質が活性化して、どのように機能するのかを解析することは困難を極める。また、多くのジスルフィドシグナリングと同様に、生理学的には、細胞内の特定の部位あるいは特定のタンパク質が超硫黄化されている可能性も考えられるが、既存の生化学あるいは分子生物学的な方法で超硫黄化のシグナリングを検証する場合、特異的な超硫黄化法がないため、ランダムな超硫黄化により生じるシグナリングを1つ1つ精査し、同定する必要がある。 そこで、本研究では、「近接効果」を利用することで、標的オルガネラ・タンパク質特異的なチオール基の化学修飾法を開発する。本年度は、オルガネラの中でも超硫黄種が重要な機能を示しうるミトコンドリアに関して、特異的なチオール基の化学修飾法を検討した。局在性部位としては、ローダミンを選択肢、超硫黄化の反応性をチューニングする目的で、いくつかの種類の反応基を検討することで、いくつかの候補化合物は既に得られた状況である。今後は、共同研究を基盤とした質量分析による解析によってミトコンドリア特異性を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、オルガネラ特異的なチオール基の化学修飾法に関して検討した。標的オルガネラとしては、ミトコンドリア、核、ゴルジ体などを選択し、光ケージド型超硫黄化体を発生させるための超硫黄化試薬を設計した。既にミトコンドリア型に関しては合成を完了し、他のオルガネラ特異的な試薬を現在合成しており、当初の計画よりも汎用性を拡張していることから、現在までの進捗状況は「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
あ今後の推進方策として、合成の完了したミトコンドリア局在型超硫黄化試薬の性能評価を行いつつ、他のオルガネラへと同様に展開する。また、特定のタンパク質特異的に超硫黄化する方法論も開発することで、本手法を確立することを目指す。
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