公募研究
本研究では超硫黄とオルガネラコンタクトの関連をツール開発を軸に見出すことを目的としている。オルガネラコンタクトの中でも特に小胞体-ミトコンドリア間のコンタクトの解析は進んでおり、コンタクトがカルシウムや脂質の輸送を媒介することでミトコンドリアの恒常性、ひいては細胞内の恒常性を維持していることが明らかにされている。超硫黄関連分子とオルガネラコンタクトとの関係を明らかにするため、小胞体とミトコンドリア間の接触を定量できるツールを開発し解析を行った。既知のオルガネラコンタクト定量ツールの問題点を克服すべく、簡便で可逆的かつ生細胞で解析できるツールを開発した。これらのツールを用いて解析を行ったところ、ミトコンドリアが産生する活性酸素種(ROS)がミトコンドリア-小胞体間のコンタクトを誘導していることが明らかとなった。また、ミトコンドリア由来のROSの除去に超硫黄関連酵素およびグルタチオン(GSH)が密接に関係していることが示唆された。さらに、ミトコンドリア由来のROSによって誘導されるオルガネラコンタクトを破壊すると細胞死が強く引き起こされたことから、オルガネラコンタクトがROSによる細胞毒性を緩和していることが示唆された。オルガネラコンタクトを誘導する細胞内シグナルは未だかつて報告されておらず、さらにオルガネラコンタクトの未知の機能に超硫黄関連分子が関与することが本研究から明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
本研究の第一目標は、オルガネラコンタクトの可視化・定量・誘導ツール開発とその応用であった。今回、オルガネラコンタクトの定量ツールの開発に成功し、さらに超硫黄関連分子とオルガネラコンタクトの密接な関係を見出せたため、おおむね順調に研究が進んでいると考える。
開発したオルガネラコンタクト定量ツールを用いて、本研究で見出した超硫黄関連因子とは別の因子とオルガネラコンタクトとの関係を解析し、新たな超硫黄関連制御・分子機構の解明を目指す。超硫黄合成促進剤をはじめとする、超硫黄に関連するさまざまな化合物が作出されているため、化合物を用いて超硫黄-オルガネラコンタクトとの関係をより詳細に解析する。オルガネラコンタクト可視化・誘導ツールについても引き続き開発を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
iScience
巻: 25 ページ: 104582~104582
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