公募研究
Se運搬タンパク質Selenoprotein Pは、筋肉におけるインスリン抵抗性を誘発することで、糖尿病を増悪させる。SePによるインスリン抵抗性誘導メカニズムに、Se運搬能やSePのもつ抗酸化能は関連しないことが明らかになっており、メカニズムは明らかになっていない。SePによるインスリン抵抗性メカニズムの探索の結果、SePはシスチントランスポーターであるxCTを増加させ細胞内Cysを増加させること、増加したCysは細胞内の超硫黄化を減少させることが明らかになった。特に、インスリンシグナルの負の制御因子で、超硫黄化によって不活化するPTP1Bの超硫黄化量は細胞内にCysを供給するNACによって減少したことから、SePによる細胞内Cysの増加がPTP1Bを活性化することでインスリンシグナルを抑制し、インスリン抵抗性を引き起こしていることが考えられる。次に、SePによるxCT増加メカニズムの解析を行った。通常、xCTは転写因子NRF2やATF4によって転写調整されている。しかし、SePを添加した筋分化C2C12細胞ではNRF2によって転写制御を受けるGCSCやATF4によって発現が亢進するCHOPの発現量の増加が認められず、一般的な転写因子は関連していないことが明らかになった。そこで、SePの取り込み受容体であるLRP-1との関連を検討した。その結果LRP-1をsiRNAを用いてKDした筋分化C2C12細胞では、SePによるxCTの増加が起こらなかったことから、SeP-LRP-1シグナルがxCTの発現亢進に関与していることが明らかになった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件)
Nature Communications
巻: 14 ページ: 8158
10.1038/s41467-023-43976-8
Journal of Biological Chemistry
巻: 299 ページ: 105009~105009
10.1016/j.jbc.2023.105009