• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

核小体内凝集体SPANCLを利用したゲノム構造変換と遺伝子発現誘導法の開発

公募研究

研究領域非ドメイン型バイオポリマーの生物学:生物の柔軟な機能獲得戦略
研究課題/領域番号 22H05585
研究機関東京大学

研究代表者

安原 崇哲  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90757056)

研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2024-03-31
キーワードRNA結合タンパク質 / 凝集体 / 核小体 / 液―液相分離
研究実績の概要

申請者の最近の研究で、核小体ストレス、特にリボソームRNAのプロセシングが阻害されると、TAF15/FUSやSFPQ/NONOのような天然変性領域をもつRNA結合タンパク質が、プロセシングされていないリボソームRNAに結合しながら液―液相分離によって集合し、核小体領域に巨大なスペックル(SPeckle formed At NuCLeoli; SPANCL)を形成することが判明した。SPANCLの形成とDNA損傷が同時に起こると染色体転座を高頻度で誘導したことから、SPANCLの形成によって核内でのゲノム構造が大きく変化していることが示唆された(Yasuhara et al. Molecular Cell 2022)。
ゲノム構造の変換が、遺伝子発現プロファイルの変換に必要であるとすれば、SPANCLの形成に伴って誘導されるゲノム構造の変換は、何らかの遺伝子発現プロファイルの変換を促しているのではないかと考えた。一般に核小体周辺はNAD(Nucleolus associated domain)と呼ばれる転写不活性化ゲノム領域が局在するとされており、SPANCLの形成に伴ってそれらの領域が核小体から離れていくことで、不活性化ゲノム領域を核小体周辺領域から解放し、低発現遺伝子群の発現活性化を可能にするゲノム構造変換が起こっているという仮説を立てた。
本研究では、「SPANCLが大規模なゲノム構造の変換を通して、遺伝子の発現プロファイルをダイナミックに変換している」という仮説を検証し、非ドメイン型バイオポリマーを中心として形成される核内構造体のストレス応答における機能を解明することを目的とした。今年度はインターフェロン応答におけるターゲット因子の発現パターンの変化や、SPANCLに集合する新規因子の同定を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シークエンス解析用のサンプリングのプロトコールを実験環境に合わせて改善中であり、サンプルの作成に時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

引き続きSPANCLの機能や新規因子に焦点を当てながら、ストレス応答における生理的意義の解明と、ツールとしての応用を視野に研究を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] RNA を介したゲノム安定性の維持機構2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 雑誌名

      月刊「アグリバイオ」

      巻: 6 ページ: 77-81

  • [学会発表] Condensates induced by nucleolar stresses mediate gene fusion2023

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Yasuhara
    • 学会等名
      The 19th Ataxia-Telangiectasia workshop (ATW2023Kyoto)
    • 国際学会
  • [学会発表] 染色体転座の発生メカニズムに迫る2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第65回大会
  • [学会発表] リボソームRNAを足場とした液―液相分離によるゲノム制御機構2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi