• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

天然変性タンパク質による「ヒストン模倣」現象の作動原理の解明

公募研究

研究領域非ドメイン型バイオポリマーの生物学:生物の柔軟な機能獲得戦略
研究課題/領域番号 22H05603
研究機関熊本大学

研究代表者

高島 謙  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10802647)

研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2024-03-31
キーワードヒストン修飾 / 天然変性領域 / 核小体
研究実績の概要

我々は新規ヒストン修飾制御因子として核小体タンパク質Xを同定し、分子XがヒストンH3K27me3修飾を制御し、乳癌の形成・進展に重要な役割を担うことを見出した。興味深いことに分子Xは天然変性領域(IDR)を持つが、その役割やヒストン修飾制御における意義は不明である。本研究では下記数点に着目し、解析を行なった。
(1)分子XのIDRがクロマチンとの相互作用に果たす役割
細胞分画実験から、分子Xはクロマチン結合分画にも局在することが明らかとなった。IDR欠損体を含む各種欠損体を用いた実験から、IDRは他の領域と協調してクロマチンとの結合に必要であることが明らかとなった。分子XがIDRを用いてクロマチンと相互作用するゲノム領域を特定するため、FLAGタグを付加した分子Xの欠損体をHEK293T細胞に発現させ、CUT&RUNを試みたが、現状としてバックグラウンドが高く、実験系の改善を図っている。また分子Xがクロマチン構造やヘテロクロマチン化に与える影響を評価するべく、ATAC-seqを現在試みている。
(2)分子X結合タンパク質の探索と機能解析
これまでの解析から、分子XはH3K27me3修飾酵素群と相互作用することが明らかになったが、さらにその性質を探るため、免疫沈降および質量分析による結合分子の同定を行なった。その結果、425個の候補分子を得た。分子Xは核小体タンパク質であるため、候補にはリボソーム関連分子が多く含まれたものの、興味深いことに新規メチルトランスフェラーゼや、既知のヘテロクロマチン関連因子などが含まれていた。これら2つの因子についてクローニングを行ってHEK293T細胞に発現させ、分子Xとの結合を免疫沈降により確認した。すでにこれら2つの因子についてノックアウト細胞の樹立に成功しており、今後ヒストン修飾やクロマチンリモデリングに及ぼす影響を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分子X結合タンパク質の探索と機能解析は当初の予定より大幅に進行しているものの、CUT&RUNのサンプル調整などで遅れが生じているためゲノムワイドの解析が計画よりやや遅れている。よって(2)とした。

今後の研究の推進方策

分子Xとクロマチンの相互様式についてさらに生化学的解析を進行する。また、分子Xがクロマチンリモデリングに与える影響を明らかにするため、CUT&RUNの改良およびATAC-seq解析を継続する。また、分子Xがヘテロクロマチン化および核小体機能に与える影響を評価するため、電子顕微鏡を用いた核内の解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Boston Children's Hospital/Washington University in St. Louis(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Boston Children's Hospital/Washington University in St. Louis
  • [雑誌論文] Circulating extracellular vesicle microRNAs associated with adverse reactions, proinflammatory cytokine, and antibody production after COVID-19 vaccination2022

    • 著者名/発表者名
      Miyashita Y, Yoshida T, Takagi Y, Tsukamoto H, Takashima K, Kouwaki T, Makino K, Fukushima S, Nakamura K, Oshiumi H.
    • 雑誌名

      npj Vaccines

      巻: 7 ページ: 16-16

    • DOI

      10.1038/s41541-022-00439-3

    • 査読あり
  • [学会発表] Nucleolus dysfunction-induced DNA leaking alters innate immune response under nutrition starvation2023

    • 著者名/発表者名
      Ken Takashima
    • 学会等名
      JSICR/MMCB 2023
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi