公募研究
上皮や内皮などの細胞終焉様式である細胞脱落において、「組織から細胞を除くこと」と「組織を修復・維持し、恒常性を保つこと」を両立せしめている仕組みを明らかにする、という研究目的を達成するために、1. 細胞外小胞形成に焦点を当て、細胞脱落の実行機構を明らかにする、2. 細胞接着の動態に焦点を当て、細胞脱落の実行機構を明らかにする、3. 1,2の機構が組織の恒常性の維持をもたらす仕組みと役割を明らかにする、の3つの研究を計画し、実施した。1. では、小胞形成に細胞膜のホスファチジルセリンの外層への露出が関与するという知見をもとに、この過程にホスファチジルセリンの受容体や結合分子がどのように関与するかを、培養細胞を用いて遺伝子ノックダウンとライブイメージング解析を組み合わせて調べ、インテグリンalphaVやaxelが小胞形成に役割を果たす結果を得た。さらに、このアポトーシス小体と考えられる脱諾細胞での細胞外小胞形成が、隣接細胞の作用を必要とすることを示唆する、予想外の結果を得た。2. では、小田裕香子博士 (当該領域計画研究代表者)との共同研究により、培養細胞を用いた解析によって、脱落細胞と隣接細胞間のタイトジャンクションの解体が、脱落細胞の細胞層からの離脱に重要であることを示唆する結果を得た。また、ショウジョウバエ蛹上皮を用いたライブイメージング解析から、エンドサイトーシスによる脱落細胞と隣接細胞の境界のE-カドヘリンの取り込みが、細胞脱落実行の初期段階のアドヘレンスジャンクション短縮に重要であることを強く示唆した。また、この取り込みは脱落細胞に隣接する細胞が主導することを示唆する像を得た。3. では、細胞脱落の実行に関与する遺伝子をマウスの腸管上皮特異的にノックアウトするため、腸管上皮特異的にCreを発現するマウスと、Arfファミリー遺伝子のfloxアリルを持つマウスとの交配を進めた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Developmental Cell
巻: 58 ページ: 1282~1298.e7
10.1016/j.devcel.2023.05.008
https://www.kawanelab.com