研究領域 | サイバー・フィジカル空間を融合した階層的生物ナビゲーション |
研究課題/領域番号 |
22H05663
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
三好 晃治 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部 中央水産試験場, 主査 (70649623)
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研究期間 (年度) |
2022-06-16 – 2024-03-31
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キーワード | ホタテガイ / 群れ形成 / 捕食ー被食関係 / ヒトデ類 |
研究実績の概要 |
①捕食者の存在がホタテガイの群れ形成に与える影響の解明:捕食者存在下におけるホタテガイの単独生活と群れ生活の回避戦略および生残率の差を明らかにするため、飼育環境下における試験を実施した(底面積3㎡の水槽においてホタテガイ10個体を放流)。外敵であるマヒトデの存在下では、マヒトデの捕食(攻撃)行動を避けるため、ホタテガイは回避行動をとり、受動的に3個体以上の集団形成(>20個体/㎡)することが明らかになった。この集団形成は、マヒトデとの接触危険性が低下しても、数時間以上(2~15時間)維持されることから、能動的に集団を維持すると想定された。また、この集団形成は1試験48時間当たり最大15回程度発生するが、個体により集団形成率に差が生じた。集団形成率70%以上の個体は、形成率20%以下の個体に比べ行動量が少なく、マヒトデに捕食されることがなかった。
②捕食圧の強度および生息環境の変化がホタテガイの群れ形成に与える影響の解明:上記①の試験に準じて、外敵であるヒトデ類の種類を変え試験を進めた。その結果、捕食能力が高いニッポンヒトデよりもマヒトデの存在下の方が、ホタテガイの集団形成率が高いことが明らかになった。これはマヒトデとニッポンヒトデの捕食行動の差が影響していると考えられ、現在ヒトデ類についても詳細な行動解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度の研究結果、ホタテガイの集団(群れ)形成が確認でき、様々な要因によって、形成条件が変化することが示唆された。次年度は、ホタテガイ密度や外敵の種類、環境要因などの説明変数を加え、ホタテガイの集団形成条件を解明する予定である。また、加速度ロガーなどによりホタテガイの行動の詳細な解析を進めることで、当初目標の達成が見込める。
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今後の研究の推進方策 |
研究項目①については、加速度ロガーの利用により、さらに詳細にホタテガイの行動を記録し、集団(群れ)形成条件の解明を進める。研究項目②について、今年度はホタテガイの密度およびサイズについて数段階に設定した試験を進めるとともに、水温などの環境要因についても複数パターン想定して試験を進める予定である。
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