本年度では、群衆環境において、人々のグループを先導する為に必要となるロボットのナビゲーション技術の研究を進めた。ロボットがツアーガイドといった人々のグループを先導し、目的地まで連れていく課題を対象とする場合、時に先導するグループ外の人々(子供)がロボットの前に割り込み、ロボットの移動を妨害するという敵対的な問題が生じ、結果として群衆ナビゲーションが失敗するという課題が昨年度の研究で明らかになった。本年度では、この課題に対応し、人のグループを連れていくために基礎となるナビゲーション技術の研究を進めた。こうした人々の割り込みを抑制し、最後まで群衆ナビゲーションを実施するためには、速度を下げずに移動することが重要となる。しかし、ショッピングモールといったロボットが、群衆ナビゲーションを行う環境では、周囲に多くの歩行者が存在するなかで、周囲の歩行者を自然に避けながらも、速度を下げずに移動するナビゲーション技術を構築する必要がある。
上記問題に対応するため、本年度では、警備員の移動方法をソーシャルフォースモデルで再現するアプローチを実施した。とくに、忙しい状況にある警備員は、歩行者の割り込みを避けるため、1) 歩行者と視線を合わせず、2) 歩行者を回避する、という特徴を持つ事が明らかになった。この警備員の移動戦略を、ソーシャルフォースモデル上で再現し、様々な歩行者がいるショッピングモール上でのロボットの群衆誘導ナビゲーションを実現した。本ソーシャルモデルをロボットに適応することで、人々による割り込み率が8.5%程度となることが確認できた。
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