成果は大きく3つに分けられる.ひとつはゲルを主成分とした磁場駆動構造の作製について,もうひとつは強靭なDN(ダブルネットワーク)ゲル上での実際の生体の培養,そして最後は変形ゲル上での粘菌の培養実験である. まず,ゲル磁場駆動構造についてである.磁性粒子分散ゲル内の磁性粒子に磁化配向を施す新プロセスを提案し作製実験を進めた.特に今年度の成果として,これまでは脆弱な寒天ゲルをベースにしたものからDNゲルに適用可能なプロセスを開発した点である. 次に,DNゲル上での生体培養実験であるが,DNゲルの主成分である寒天ゲルおよびPAAmゲルのそれぞれは生体に対し害を示さなかったものの,合成中に残留する反応に必要な試薬(APS等)が生体培養に影響することが確認できた.合成したゲルを数日水にさらすことでこれらのゲル骨子以外の成分を希釈し,生体培養実験に用いることができた. 最後に粘菌の培養実験である.変形する寒天培地上で培養を行った結果,粘菌の成長に変化が見られた.詳細については今後さらにパラメータを変化させながら論文化に向けた実験を繰り返す予定である.
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