本研究では、地上観測、衛星観測といった観測データを地球観測ビッグデータとして集約し、地上観測・衛星観測・簡易モデル(機械学習・簡易生態系モデル)を統合させることで、広域の水・炭素フラックスの推定を行い、陸域植生の変動のスポットを見つけることを目的としている。本年度は、「データ集約」「データ統合」「相互比較」を実施した。 「データ集約」については、昨年度収集したフラックス観測データに対して、さらに文献調査やWeb調査を進め、Ameriflux、European Database、OzFlux、ChinaFluxなどのデータを追加した。特にOzFluxとChinaFluxの追加により、熱・水フラックスについてはアジア・オセアニアで30サイトを超えるデータが整備できた。 「データ統合」については、機械学習による手法の実行、リモートセンシングベースのプロセスモデル(BESSモデル)の実行によりグローバルスケール・アジア域の両面のデータセットのアップデートを行った。これによりグローバルスケール・アジア域の両方で0.25度・2000-2021年のデータセットを構築した。 「相互比較」については、これらの結果と陸域モデル相互比較プロジェクトの成果であるTRENDYデータセットを用いて、特に経年変動成分に関して相互比較を進めた。昨年度のMODISの旧バージョンの結果と新バージョンの結果では経年変動成分が大きくことなり、新バージョンでは光合成量の顕著な増加がみられた。これは、TRENDYデータセットと一致する傾向であった。これらデータセットについて、本研究独自プロダクトについては、Webで公開できる準備を進めており、近い将来公開する予定である。
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