公募研究
地球温暖化ガスの貯留によるカーボンニュートラルの達成を目指し,沿岸域における「ブルーカーボン研究」が世界的に成されている.世界における浅海沿岸域の面積は約200km^2であり,かなりのポテンシャルを有していることがわかる.一方で,世界における湖沼などの滞留域と考えられる淡水域の面積は,約500km^2であり2倍以上である.過去の研究において,森林等からの炭素の大量の流入により,多くの湖沼は二酸化炭素の排出源だと示されたこともあり,近年まで吸収源としての研究はほとんど存在しなかった.しかし,近年の研究成果において,栄養レベルが中程度以上であれば,水生植物の光合成の効果により二酸化炭素の吸収源になっていることが示された.淡水湖沼を対象とし,空間スケールを考慮した水草および藻類による炭素吸収量,底質からの炭素フラックス量,水草や藻類の打ち上げによる系外への炭素の除去量を定量的に評価する手法を開発することを目的とした.対象としたのは北海道中心に位置する阿寒湖である.全国における湖沼の水草は,漁業の邪魔者として除伐を進められてきた結果,ほとんどの湖沼で存在しなくなった.水草が存在している有名な湖沼は,琵琶湖の南湖を除けば,ほとんどが北海道と東北の湖沼であり,阿寒湖はそのうちの代表的な湖の一つである.まず,呼吸・光合成による炭素放出・吸収量を計測するために,水中二酸化炭素分圧の直接計測を行った.その際,水温チェーンも設置し,成層流動場との関係についても計測した.続いて,風波や吹送流による水草や藻類の打ち上げによる系外への炭素の除去量を定量的に解明するため,インターバルカメラによる計測も実施した.その結果,水草が存在することにより特殊な成層場が発生し,その結果,夏季における光合成の効果により,水草帯における水中二酸化炭素分圧が大きく低下し,大気から二酸化炭素を吸収していることがわかった.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件)
Biogeosciences
巻: 20 ページ: 4359~4376
10.5194/bg-20-4359-2023
Heliyon
巻: 9 ページ: e20322~e20322
10.1016/j.heliyon.2023.e20322
Frontiers in Marine Science
巻: 10 ページ: 1212305~1212305
10.3389/fmars.2023.1212305
Japanese Journal of JSCE
巻: 79 ページ: n/a~n/a
10.2208/jscejj.23-18158
10.2208/jscejj.23-18124