本研究では、インターネット上で複数の人間が共創行為を行う場面を取り上げ、共創をもたらす条件を繰り返しの実験を通じて定量的に評価、検討することを目的とする。 特に、一般のテキスト情報ベースのCGMシステムに加え、研究代表者が開発したアニメ版WikipediaシステムAnimepediaによるアニメ制作(百科事典の各アイテムを写真やイラストを含めたアニメ映像として複数ユーザ間で制作する)をも対象に含め、共創効果を定量的に評価、検討し、共創効果の定量化ならびに共創効果を高めるための方策について検討する. これまでの研究成果より、研究代表者らは「共創モデル」ならびにこのモデルに基づく「共創曲線」という仮説を立て、非常に限定的な条件ながら(Animepediaを用いた実験のみ。被験者数は10~20名程度と小規模、CGMコンテンツの制作方法は同期型のみ)、この共創曲線の存在を実験を通じて実証している。そこで、本研究ではこれまでの研究成果によって得られた知見をもとに、より多様な実験条件のもとで共創効果の定量化と、実験条件の違いによって生じる共創効果の差異について検討することを目標とする。本年度(平成23年度)は、これまでの成果を踏まえ、テキスト情報ベースのCGMシステムを対象に、共創効果実験までを実施した。その結果、アニメ制作時と同様の共創曲線の存在を確かめることができた。さらに、その共創曲線の形状はアニメ制作時とは若干異なり、よりピークが顕著に表れる傾向があることがわかった。
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