研究領域 | 植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系 |
研究課題/領域番号 |
23012016
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20377790)
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研究分担者 |
兒島 孝明 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40509080)
永澤 信洋 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90599268)
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キーワード | 植物 / イネ / メリステム / 発生・分化 / 根 / オーキシン / 突然変異体 / 遺伝子 |
研究概要 |
(1)CRL5転写因子の標的因子の決定 これまでに、野生型とcr15変異体を用いたマイクロアレイ解析により、CRL5下流候補因子群を選抜してきた。本年度は、その標的因子をwater in oil(w/o)エマルジョン内1分子固相PCR法とFluorescence-activated cell sorting(EACS、蛍光活性化細胞分離)を用い選抜を試みた結果、CRL5転写因子の標的候補遺伝子としてサイトカイニンの不活化に関わることが想定されるOグルコシル転移酵素等が選抜された。これまでに、CRL5遺伝子はサイトカイニン信号伝達の抑制に関与することが判明しているため、CRL5遺伝子下流では根の発生を負に制御するサイトカイニン作用の打ち消しが徹底的に行われていることが示唆された。 (2)根端メリステムの維持機構に関わる制御因子の単離 根端メリステムの維持に異常を示す rrl2変異体の原因遺伝子の単離を試みた結果、DNA型トランスポゾンであるMuDR因子内のmudrA転移酵素と高い相同性を示す候補遺伝子内にナンセンス変異が認められた。近年、シロイヌナズナのFHY3やFAR1がコードずるタンパク質も同転移酵素由来ドメインを有することが報告されている(Linetal.2007,Science21:1866)。いずれのタンパク質もN末にWRKY-GCM1 familyに属するC2H2タイプのzinc fingerとC末にSWIM zinc fingerを有しており、このうち転移酵素とSWIM zinc fingerを含むC末側領域に転写活性能があることが判明している。一方、RRL2候補遺伝子のC末にもSWIMzincfingerが存在しており、本候補遺伝子も転写因子として機能し、根端分裂組織の維持を制御することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった、CRL5転写因子の標的候補遺伝子の選抜に成功した。また、根端分裂組織の維持に関わるRRL2遺伝子の単離にも成功しており、計画通りに順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
冠根形成に特異的に関与する制御因子、および冠根や種子根のメリステムの維持に共通して機能する遺伝子の実体が明らかとなった。今後はこれらの機能を解析することに加え、種子根のみが欠損する rall変異体の解析を通して種子根形成に特化した制御因子の同定を試みる。
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